中部大学教育研究24
74/115
たい知っていた」、「多少知っていた」、「ほとんど知らなかった」、「まったく知らなかった」の4段階に回答を区分している。アンケート調査の結果、「知っていた」と回答した学生と「知らなかった」と回答した学生の二極化が見られた(図31)。各章ごとに詳細なアンケートを実施したが、紙面の都合上ここでは割愛する。以下に各章の内容について結果を示す。第2章では講義で使うネットワークについて学ぶ。学生から得られた回答では、「ほとんど知らなかった」、「まったく知らなかった」という回答が過半数を占めた。中部大学のWebページの認知度は全体に高い傾向があるが、情報スキル入門で習うまでWebメールの署名設定や連絡先の設定や送信方法については「知らなかった」と言う回答比率が高い傾向があった。第3章ではOfficeの基本操作、ファイルの保存方法について簡単に学ぶ。「だいたい知っていた」という学生が一定数いる一方で、2~3割の学生に「ほとんどあるいはまったく知らなかった」という回答が見られた。第4章および第5章では自分のPCのセキュリティ管理、ネットワーク社会におけるリテラシーおよび著作権について学ぶ。セキュリティの重要性及び一定の情報倫理については高等学校までに知識として身についている一方、自分のPCを保護する実習は行っていないことが分かった。第6章では、OPAC蔵書検索実習の他にブラウザを使った「Googleなどの検索実習」、「翻訳サイト」、「計算サイト」、「地図表示サイト」の紹介も行っているが、これらのサイトはほとんどの学生がすでに活用している傾向が見られた。それに対し、OPAC蔵書検索実習については、「情報スキル入門の講義で学ぶまでほぼ知らなかった」という回答が多数であった。第7章ではハードウェアについて学ぶ。前章でも述べたが、この実習を行うまでコンピュータの仕組み及びOSに関する理解は浅い傾向が見られた。第8章ではコンピュータのデータの取り扱いについて学ぶ。デジタル化の知識に関して、新入生は平均的にコンピュータの仕組みやデータの扱い方についての理解がしっかりとできているとは言えない結果となった。コンピュータはアナログ情報をデジタル化されたデータを扱っていることを講義内で確認し、実習を行っている。デジタル化の内容は高校で学んでいるはずであるが、回答結果を調べたところ、しっかりと理解できている学生の割合は低い傾向が見られた。第9章ではインターネットの歴史とWebサービスについて学ぶが、認識度は低い傾向が見られた。第10章、第11章ではWord操作について実習を中心に扱う。「だいたい知っていた」と回答した新入生が4分の1程度いるものの、Wordでのフォント、段落、ヘッダーとフッター、表の挿入といった操作についての習熟度には格差があり、レポート作成スキルのための実習の必要性が高いことが分った。第12章、13章では、Excelの実習を行っている。Excelの操作(塗りつぶし、書式変更)、グラフ作成、数式、関数、テーブルの並べ替え、フィルター、検索についての実習についての回答によると、習熟度の高い「だいたい知っていた」以外の学生の割合が高く、教科書の実習内容も段階的なものを取り入れていく必要性を感じている。第14章では、PowerPointを学習する。しかし、アンケートによると、習熟度が高い結果となり、高校までにある程度のスキルを身につけていることが分かる。また、より高度なスキルについては「情報スキル活用」で行う予定である。第15回目の講義では、「情報技術が社会にもたらす影響」、「データサイエンスについて」、「AIの仕組みについて」、「AIの問題点について」学ぶ。これらのテーマについて、学生の回答結果は「ほぼ知らなかった」と回答している。よって、今後もこの方向性で講義を進めて問題ないと判断している。5何を教えていくべきか高等学校で行う「情報Ⅰ」の内容について、2024年度の新入生を対象にしたアンケート調査結果は、「だいたい知っていた」、「多少知っていた」、「ほとんど知らなかった」、「まったく知らなかった」の4段階で二極化が見られたが、今後、本学の情報教育が従来の内容から方向転換を迫られる中で、今まで行ってきた教育内容から「何を教え」、「何をやめていくか」の決断が求められている。今回の2024年度春学期新入生を対2024年度入学生を対象とした「情報スキル入門」の内容調査―63―0%20%40%60%80%100%23456789101112131415図31教科書における各章の理解度
元のページ
../index.html#74