中部大学教育研究24
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象にした「情報スキル入門」受講者のアンケート調査から、学生が必要と感じること、そうでないこと、を見極め、15週間の講義の中で効率的に教えていくことが求められる。情報スキル入門の講義では、演習問題の中でe-learning教材である「INFOSS情報倫理」(日本データパシフィック社)も行っている。学生自身で学習を行い、修了テストを受けることにより、情報倫理についての知識を習得するというものである。「情報スキル入門」では、教員がその結果を利用して成績評価に役立てている。「情報スキル入門」は、講義の受講者数が新入生のほぼ全員と非常に開講クラス数が多く、担当教員も非常勤講師を含めて大人数である。今後、教科書を各担当教員がより講義で役立てやすい実践的な構成へと改編していく予定である。来年度に向けては、今回のアンケート結果を参考に、授業内容をできるだけ新入生の希望に沿い効果的なものへと変更していく。変更点としては、1.Tora-netメールの書き方実習を、より詳細に具体的に行う。2.Word実習を早い時期に行い、段階的・具体的な実習例題を増やしていく。3.PowerPointは習熟度が高くWordよりも簡易なため、Word実習に続けて早い時期に行う。4.Excel実習は教科書の実習を、より分かり易く段階的なものへと作り変える。5.情報倫理についての記述は教科書から大幅に削除し、「INFOSS情報倫理」の学習を徹底させる。6.セキュリティ対策についての知識は高校までにある程度学んでいるため、自分の所有するPCに対する実習を重点的に行う。を中心に改編を考えている。また、以前は第1回目の講義はPCを持参しない学生が一定数あったため、PCを用いずに行える講義内容(用紙へアンケート回答を記述)を行っていたが、最近は入学時に手元にPCが届いていない事例がほとんどなくなったため、今後は1週目からPCを持参する前提での講義内容を行っていくなども考えられる。6おわりに今回のアンケート結果は、一部の学科のデータであったため、全学部学科の実態を反映しているとは言えない。今後は全学科のデータを収集し分析を行っていきたい。全学部共通で同じ教科書内容を等しく教えることが必要なのかどうかの議論も待たれる。ネットワーク利用法はもちろん、セキュリティ対策能力、大学生活を送る上で必要なレポート作成能力、教員との講義連絡に役立つコミュニケーションツールとしてのメール作成能力、就職後も役に立つ文書作成能力など、幅広いスキル力を底上げしていくことが「情報スキル入門」に求められる。またAI数理データサイエンスプログラムとの連携を図り、AIの導入教育としての位置づけが「情報スキル入門」に求められていくことになる。高等学校での「情報Ⅰ」の必須化に伴い、2025年度以降に入学してくる新入生の変化にも必要に応じて柔軟に対応していくことが求められる。また本学の「情報スキル」教育の内容の見直しも随時行っていく必要性がある。そのための議論として、学生が「知っていること」と「身についていること」、「必要と感じていること」の見極めが必要になる。参考文献1)萩谷昌己,他,“最新情報Ⅰ”,ISBN:978-4-407-20464-3,実教出版,2022.2)文部科学省数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00001.htm2024.8.233)藤井隆司,鈴木知治,鈴木肇,山田裕子,“2022年度入学生を対象とした情報スキル入門の教科書の改訂-遠隔講義に対応した教科書とカリキュラム-”,中部大学教育研究,47-52,2022.中部大学教育研究No.24(2024)―64―

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