中部大学教育研究25
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1はじめに本学科の「看護海外セミナー」は、3年次秋学期の選択科目(2単位)であり、海外の看護大学や医療機関の訪問を通して、日本と海外における保健医療制度、看護教育、看護師の役割や活動内容の違いを学び、国際的な視点から健康問題を考察することを目的としている。本セミナーの実績としては、2009年~2011年はアメリカ合衆国・ワシントンD.C.、2013年~2014年はニュージーランド・オークランド、2015年~2016年は同国マヌカウ、2019年はアメリカ合衆国・ロサンゼルスにおいて実施された。2020年以降はCOVID-19の世界的流行により中止を余儀なくされた。2023年には、COVID-19の終息を受けて募集を再開したが、世界的な航空運賃の高騰等の影響により参加費が50万円を超えることとなり、最少催行人数に達せず再び中止となった。2024年5月、COVID-19が第5類感染症へと移行し、感染症対策が確立されるなど、実施可能な環境が整ってきたため、再度募集を行った。本セミナーは3年生を対象としているが、コロナ禍により履修の機会を逸した4年生にも、単位認定対象外であることを説明したうえで参加を募った。その結果、3年生4名が履修登録を行い、4年生2名が参加を希望したため、計6名により2024年度の看護海外セミナーが開講された。本稿では、4年ぶりの実施となった看護海外セミナーについて、事前準備から現地研修、帰国後の報告会に至るまでの様子を報告する。なお、本稿で掲載されている写真については全員より掲載許可を得ている。2「看護海外セミナー」の目的本科目では、海外の看護教育機関の訪問や、保健・医療・福祉施設の視察などを体験する。また、現地での活動に必要となる医療英語や基本的な英会話については、事前学習および現地で学習する。これらの学習・体験を通じて、研修国と自国における医療や看護の基盤となる価値観や文化の違いについて考察し、異なる価値観や文化を尊重した看護の重要性を学生自らが主体的に学ぶ機会としている。3開催国の選定からプログラム構築までの事前準備看護海外セミナーの目的が達成できるように、過去のセミナーでの実績を踏まえてプログラムの構築と参加学生の学びの充実を行った。本セミナーの準備から発表会までのスケジュールと内容を表1に記す。3.1研修国の選定と研修プログラムの構築セミナーの日程について、過去の実施では学生の夏季休暇を活用し、8月末から9月上旬にかけて行っていた。しかし、訪問候補国の多くが同期間に休暇に入るため現地学生との交流が困難であること、さらにカリキュラム改正の影響により引率教員の日程調整が難しくなったことから、今回は学生の春季休暇にあたる3月中旬を開催時期とした。ツアー調整に関しては、現地コーディネーターおよび仲介役となる国内の教育旅行業者に対し、以下の条件を提示して調整を依頼した。・異文化での生活体験によって国際的な看護の重要性を認識させるために、ホームステイが可能であること・初学者向けの医療語学研修が実施可能であること・看護教育機関、および病院または高齢者施設の視察が含まれていることこれらの3つの条件から、アメリカ合衆国・ロサンゼルス、ニュージーランド・オークランド、フィリピン・セブ、オーストラリア・ゴールドコーストが候補地として挙がった。セミナー日数やツアー内容および金額の調整のための打ち合わせを何度か繰り返し、妥当なプランを作成した。業者と担当教員による検討後、学科内での審議を経て、研修実績と高い評価を有するオーストラリアのGriffithUniversityGoldCoastCampus(GUGC)が研修先として決定した。―65―*1看護実習センター助教*2生命健康科学部保健看護学科准教授オーストラリア看護海外セミナー-現地での医療英語研修・病院見学とホームステイ体験からの学び-堀田清司*1・横手直美*2・荒川尚子*2

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