中部大学教育研究24
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1はじめに2022年4月から高等学校では「情報Ⅰ」が共通の必須科目となった。また、2025年度入試からは、大学入学共通テストにおいても「情報」が出題されるようになる。現在の学生は、GIGAスクール構想のもとで、初等教育の段階から情報の教育を受けている1)。高等教育においても、初等、中等教育で、どのような学習が行われており、大学でどのような内容の教育を行う必要があるかの検討が必要であり、それらをふまえた上で講義内容を組み立てる必要がある。今回、中学校、高等学校の教員から情報に関係する授業教材についての相談があり、中学校、高等学校の情報教育の現状をそれぞれ伺い、共同で教材の開発を行った。2初等中等教育における情報教育文部科学省の「教育の情報化に関する手引」2)3)によると、小学校の早い段階から「教育の情報化」を目指している。具体的に小学校では、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」こと、また、「各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」とした。あわせて、「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得する」及び「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける」ための学習活動を、各教科等の特質に応じて、計画的に実施することとしている。なお、プログラミングを体験する学習活動については、算数、理科、総合的な学習の時間において例示がされている。一方、中学校では、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」こと、また、「各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」としている。小学校でプログラミング教育が必修化されたことなどを踏まえ、技術・家庭科の技術分野「情報の技術」において双方向性のあるコンテンツのプログラミングが追加されるなど内容の充実が図られ、「生活や社会を支える情報の技術」、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」、「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」、「社会の発展と情報技術」を全ての生徒に履修させることとしている。高等学校では、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」こと、また、「各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」としている。共通教科情報科について、生徒の卒業後の進路等を問わず、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力の育成が一層重―67―小学校から大学までの情報教育用教材の開発藤井隆司*1要旨文部科学省の「教育の情報化に関する手引」によると、小学校の早い段階から「教育の情報化」を目指している。その中では「プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施」としており、算数、理科、総合的な学習の時間においてもプログラミングを積極的にとり入れることが学習指導要領に記載されている。このように、小学校、中学校、高等学校においてもプログラミングを含めた情報教育が必須となる中で、情報教育(主にプログラミング)について、小学校高学年や中学校、高等学校、大学のプログラミング教材の開発を行った。キーワード情報教育、アルゴリズム、GUIプログラミング教材、Scratch、micro:bit*1人間力創成教育院情報教育プログラム講師
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