中部大学教育研究24
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要となってきていることから「社会と情報」及び「情報の科学」の2科目からの選択必履修を改め、共通必履修科目「情報Ⅰ」を設けるとともに、「情報Ⅰ」の発展的な選択科目として「情報Ⅱ」を設けた。専門教科情報科について、知識基盤社会の到来、情報社会の進展、高度な情報技術を持つIT人材の需要増大に対応する観点から、従前の13科目を「情報産業と社会」「課題研究」「情報の表現と管理」「情報テクノロジー」「情報セキュリティ」「情報システムのプログラミング」「ネットワークシステム」「データベース」「情報デザイン」「コンテンツの制作と発信」「メディアとサービス」「情報実習」といった12科目に改めるといった内容となる。その中でも「プログラミング教育」については、当初(平成28年)において、小学校に関しては、「直接的な言語教育ではなく、プログラム的思考能力を身につける」ことが目標となっていたが、令和2年の追補版からは、「プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施」と具体的にプログラムを行うこととなった。また、算数、理科、総合学習においてもプログラミングを積極的にとり入れることが学習指導要領に記載されている。このように一般的に情報教育として小学校からプログラミング学習が行われるようになり、中学校、高等学校、大学の情報教育の内容もそれぞれ見直す必要があると考えた。そこで本学が開催している小学生を対象としたジュニアセミナーで実施するプログラミング講座、中学校の技術家庭の技術の教材、高等学校のプログラミング教材、大学の情報スキルの教材とロボットプログラミング教材の開発を中学校や高等学校、大学の講義担当の教員らとディスカッションを重ねて開発を行った。3情報教育用教材の開発小学生(4年生~6年生)から中学生、高校生、さらに大学生向けの情報教育用教材を開発した。小学生用の教材は、地域講座やミニ講座などで、中学生用の教材は、中学校「技術」、高校生用の教材は、高等学校への出張講座やクラブ活動などでのプログラミング導入教育での利用を想定した。大学生用の教材は、情報スキル活用やプログラミング言語(Python言語)の導入教育としての教材開発を目的とした。3.1小学生用プログラミング教材の開発小学生(4年生~6年生)を対象とした「プログラミング講座」で使用する教材の開発を行った。教材で使用するプログラミング環境はScratch(スクラッチ)とした4)。ScratchはMITのメディアラボが開発したGUI(GraphicUserInterface)プログラミング環境である。複雑なキーボードによるプログラミング言語の入力はなく、マウスを使用して、図1のようにブロックを接続していき、直感的にプログラムが作成できるようになっている。小学生を対象としたプログラミング講座は、1回90分、全3回の構成とした。その内容は第1回アルゴリズムとプログラム第2回反復処理(タートルグラフィックス)第3回条件分岐(ミニゲーム作成)である。単にプログラミングを実施して終わるのではなく、初回にアルゴリズムについて学び、その後、アルゴリズムを考えた上でのプログラム学習という流れとした。プログラムに触れたことがなくても、講座の終わりには簡単なゲームを作って動作させることを目標としている。第1回は、プログラミングを行う前に、アルゴリズムについて学習する。アルゴリズムの表現方法としてフローチャートを用いた。その理由として、フローチャートでは、プログラムの流れを上から下へ表現する。Scratchも同様に上から下へプログラムをつなげていくという特徴を持つためアルゴリズムをそのままプログラム化することができる。また、フローチャートで使用するパーツはScratchと非常に類似性が高いため、フローチャートでプログラムの流れが正しく表現できていればScratchプログラミングを行う際に簡単にプログラム化が可能となる。アルゴリズムの説明後、Scratchのサイトへ接続し、画面構成やプログラムブロックの説明などを行い、実際にスプライトと呼ばれる猫のキャラクターを上下左右に動作させる基本的なプログラムの作成を行う。第2回からは応用プログラミングとなる。Scratchは、図2のようにプログラムの命令がすべて日本語で表示されており、C言語やPython言語のように、それぞれの構文のルールを覚える必要がなく、直感的に中部大学教育研究No.24(2024)―68―図1Scratchプログラム画面

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