中部大学教育研究2022
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2.3生徒アンケート調査の実施中大連携活動の実施の効果について、生徒の意識や態度の変化に着目して評価するため、活動終了後に生徒を対象としたアンケート調査を実施した。アンケートは無記名式で、設問数は計32問、全問選択式のマークシート形式とした。調査は、啓明祭での発表から1週間後の「振り返り」授業で実施し、回収した182枚のうち有効アンケート159件について分析した。尺度法を用いた設問では、5点尺度(1=まったくあてはまらない、5=大いにあてはまる)を用いた。3生徒アンケート調査の結果3.1理系・文系の選択テーマへの関心(1)社会とのつながりや学ぶ価値大学教員のテーマは、中学の教科書内容にとどまらない社会とのつながりや奥深さが特徴となる。そこで、生徒たちがテーマ学習で、社会とのつながりや意義を感じ、学ぶ価値を感じたかを尋ねた。図1には次の3項目の回答分布を示している。設問(a)では、文系テーマの選択者には「私たちの生活する社会への関心」、理系テーマの選択者には「科学技術への関心」が、本活動を通じて高まったかを尋ねた。文系・理系に関わらず、「関心が高まった」と回答した生徒は約70%を占めた。また、テーマが文系・理系かで統計的な差異が存在するか否かをχ2検定したところ、5%水準で有意な差は見られず、テーマの文系・理系に関わらず、生徒が社会や科学技術への関心を高める効果があった。(2)理解の深まり「奥が深い」設問(b)では「社会問題や社会の仕組みについての理解が深まった(文系テーマ)/科学技術の社会的な意義や役割について理解が深まった(理系テーマ)」、設問(c)では「想像していたよりもずっと奥が深く、学ぶ価値のあるテーマだと感じた(文理共通)」を尋ねた。両設問とも約70%の生徒が肯定的な回答をしている(図1(b),(c))。特に、設問(b)は5%水準で文系・理系テーマによる統計的な有意差が見られ、文系テーマに理解が深まったと回答した生徒が多かった。一方、設問(c)では有意差は見られなかった。(3)好きな科目と選択テーマ高等学校では進路により文系クラス・理系クラスに分かれる場合がある。中学校では文系・理系の分類がないため、中学生の理系・文系の指標として「1番好きな科目」(設問(d))を調査し、選択テーマの文系・理系にどのように影響しているか調査した(図2)。「1番好きな科目」の回答では、理系科目(算数または理科)が60名、文系科目(英語、社会、国語)が52名、その他科目(音楽、体育、技術・家庭、その他)が47名であった。中大連携で実施した8つのテーマを尋ねた上で(設問(e))、それを文系と理系に分け(表2)、好きな科目(文系・理系)とその生徒の選択したテーマの文理のクロス集計をグラフ化したものを図2に示す。好きな科目の文系・理系による、選択テーマの文系・理系への影響をχ2検定で確認したところ、1%水準で有意な差は見られなかった。生徒は好きな科目に捉われずに文系テーマ、理系テーマに分かれており、文理横断的に学びを広げる傾向が見られた。3.2興味や主体性の変化(1)意欲・熱意を持って取り組めたか中大連携活動にあたり、生徒が活動前・活動中に意欲的であったかを調べた。設問は、「活動前から、情熱を持って一生懸命取り組もうと思っていたか」(f)、「情熱を持って取り組めたか」(g)、「テーマについて大学との連携による中学校でのSTEAM教育の開発―3―454653596255383435218121460%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図1テーマの社会とのつながりや学ぶ価値2527273323240%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図2好きな科目と選択テーマ(文系・理系)

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