中部大学教育研究24
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3.2中学生用教材の開発(技術分野)中学校の技術で使用する教材の開発を行った。中学校の技術の授業は、材料と加工、生物育成、エネルギー変換、情報と多岐にわたる。そのため、教員のスキルも広い分野が必要となる。教材開発の相談のあった中学校では、技術の授業では、それぞれのテーマ毎に市販の教育教材を生徒に購入させている。図6はテーマ「エネルギー変換」で購入している教材である(山崎教育システム株式会社、ロックオン・ユニットYM-550)。この教材を活用して、他のテーマでも再利用できるような教材の開発を行った。図6の市販キットを組み立てた状態では、アームのリンク機構、モータとギア(歯車)の学習を行うことができる。動作指示は有線接続された簡易的なリモコンを使用して行う。今回の教材では、下の台車部分を別のテーマでも活用することとした。そのため、上部のリンク機構のアーム部を取り外し、アナログ回路を組む込むことができるように、ブレッドボードを取り付けた。ブレッドボード上に赤外線センサやトランジスタなどを配置することによって、図7のようにアナログ回路のみで、障害物に近づくと停止するロボット(車両)を作成した。学習者は、このロボットを製作する過程で、回路部品の名称と役割、回路図や図記号、電気・電子回路動作の仕組み、アナログ回路を学習することができる。次に、図7のブレッドボード上のアナログ回路部分をmicro:bit5)に変えることにより、さらに複雑な動作が可能な教材とした。micro:bitは、入出力ポートやLED、ボタンスイッチが1枚のマイコンボードに集約された教育用マイコンボードである。ロボットの外観を図8に示す。アナログ回路のみのロボットは、赤外線センサを使用していたが、このロボットでは超音波センサを使用した。超音波センサにより、障害物との距離を測定することができ、距離によってロボットの動作を変えることができる。micro:bitのプログラム開発環境はMicrosoftMakeCode6)を使用した。MicrosoftMakeCode(以下MakeCode)のプログラム開発画面を図9に示す。micro:bitとセンサを用いることにより、周囲の環境の変化によってインタラクティブに対応が可能なロボットを設計することができる。MakeCodeはScratchと同様、GUIでプログラムを作成することができる。画面に表示されているパーツもScratchと同じ機能であるため、容易にプログラムを作ることが可能である。中部大学教育研究No.24(2024)―70―図6テーマ「エネルギー変換」の教材図7アナログ回路のみで動作するロボット図8micro:bitを搭載したロボット図9MicrosoftMakeCodeのプログラム開発画面

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