中部大学教育研究2022
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という人が多かった。また、日本でもニュースになっていたようであるが、物価高と円安の影響がとてつもなく大きくて、2か月後のクレジット引き落とし額が恐ろしい。5その他、皆さんよく頑張っている世界情勢が厳しくなる中、大切なひとたちとの連携をひとつずつ挙げていくと他にもエピソードがあってきりがない。本研究室にピッタリな専門性を有するインドのKalaiselviさんには、長年取り組んできた研究課題を決着させるためにも何とか本研究室に来てほしい人材であった。できる限りの共同研究を遠隔でスタートさせていたが、その当時とてもうまく感染症を抑え込んでいた韓国の全南大にタイミング悪く(良く?)ポジションがあって、今はそこで頑張っている。インドネシアのRinaさん達は、2019年から始めたシャクアラ大学農学部主催の国際会議「InternationalConferenceonAgricultureandBioindustry,ICAGRI」を途絶えることなくオンラインで開催し続けている。オンライン開催でゲストスピーカーを海外から招へいしやすくなり、ますます盛況である。海外から研究者達を招待し、研究発表の場を学部教員や学生達に提供し、みんなが楽しくそして元気になる目的を十分に果たしている。応用生物学部でも、あのような国際会議を開催できないものだろうか。パンデミックと国際関係のもつれが世界の分断を際立たせている。オンラインツールの普及によって世界と容易に繋がることができ、試験やルールの標準化が進み、そして世界の分断をさらに大きくしているような気がしてならない。自分達が世界から取り残され、分断された溝に落ちていくことになるのではと焦る一方である。アフリカ(Sub-SaharanAfrica)で生活するおよそ11億人の人口構成は、60%が25歳以下の若者である。高等教育機関(大学、高専、専門学校での教育)への進学率は10%を超えられず、教育を受けて豊かな未来を切り拓きたいと意欲に燃える若者たちが溢れている。2018年、アフリカから中国に留学する学生はアメリカの2倍、今や中国はフランスに次ぐアフリカからの大学生受入大国となっているらしい。東南アジア各国における高速鉄道建設も、政治とパンデミックの混乱の中でも中国は着々と進めていた。日本では少子化がますます加速していくなか、あらゆるところで社会を支える人材が足りずに困っていて、今までどおりの社会を維持できなくなってしまいそうである。これからも、海外の学生達が日本に魅力を感じて来てくれるであろうか。心配は大きくなるばかりであるが自分を奮い立たせ、学生達を元気にさせ、専門の研究を続けていくことが大学教員のできる第一であると、何度も思考を巡らせても最後はそこに戻ってくる。自分の専門である線虫の研究も、やはり面白いと思う。自分たちの思う研究・教育にチャレンジできる環境を提供し続けて下さる中部大学に感謝申し上げたい。世界情勢が厳しくなるなかでの海外連携―79―

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