中部大学教育研究24
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複雑なプログラムは必要なく、Webブラウザを介して画像や音声などを入力するだけで、学習モデルを構築できるツールとなっている。今回の教材の作成では、画像入力を使用して学習を行う教材とした。画像入力画面を図14に示す。画像の入力は、Webカメラを使用する。本学の学生は入学時から自分のノートPCを所有している。ノートPCは標準でWebカメラが内蔵されているものが多いため、新たにWebカメラを用意する必要はない。今回は自分の手の指がどちらの方向へ向いているかを学習させた後、自動的に判別させるシステムを構築する。右・左のそれぞれのパターンの静止画像をWebカメラにより200~300枚程度撮影を行い、学習作業を行う。学習終了後は、Webカメラで指を撮影し、左右どちらの方向を向いているかをリアルタイムで認識させる。サンプル量によって学習結果が変化するため、Webカメラで取り込んだ画像とTeachableMachineの判定結果が異なる場合は、追加で学習用の画像を取り込むことで判定精度が向上する。この再学習のプロセスを繰り返すことによって、学生は実践の中で、AIの学習について学ぶことができる。TeachableMachineで学習した結果は、外部で利用することが可能となっているため、今回の教材では、機能拡張したScratch10)を使用する。図15は、TeachableMachineの学習結果をScratch内で使用した例である。TeachableMachineで認識された結果をScratchが受信することによって、スプライト(猫)が左右に動くプログラムとなっている。このようにTeachableMachineでAIの学習の概要を学習し、Scratchプログラミングと連携させることにより、体系的に学習することができる。3.4.2ロボットプログラミング用教材の開発高校生の教材として使用したLEGOSPIKEは、大学のプログラミング導入教育としても利用できる。情報工学科では、2002年から創造性教育とプログラミングの導入としてLEGOを使用している11)12)。しかし、旧バージョンの教材であるため、内容を見直す必要があった。そこで、本学の情報工学科およびAIロボティクス学科のプログラミング言語の導入教材として新たに開発を行った。高校生向けの教材では、プログラミング方法はGUIプログラムを使用していたが、大学生向けの教材では、AIなどのプログラム開発で使用されるPython言語を使用した教材とした。プログラム開発画面を図16に示す。プラットフォームは、GUIプ中部大学教育研究No.24(2024)―72―図13TeachableMachine図14TeachableMachine(画像の学習)図15Scratchへの応用図16LEGOロボットのPythonプログラム環境

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