中部大学教育研究25
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高齢者を受持つ学生への教育は今後さらに重要になると考えられる。そこで本研究では、在宅看護論臨地実習において、学生は認知症独居高齢者の暮らしを実際に見ることで何を学んでいるのか、そしてその暮らしを支える訪問看護師の役割をどのように理解しているのかを明らかにする。これらを明らかにすることで、今後の実習指導の質向上に寄与できるとともに、実習前の授業や演習方法の基礎資料になると考える。2研究目的目的は、在宅看護論臨地実習において独居の認知症高齢者を受持った学生の学びを、ケースレポートの分析を通して明らかにすることである。3用語の操作的定義ケースレポート:在宅看護論臨地実習で学生が受持った認知症独居高齢者への看護実践からの学びを考察したレポートで、A4サイズ2枚程度にまとめ、実習の最終日に提出したもの。4研究方法4.1研究デザイン本研究は、質的記述的研究である。4.2研究対象者2022年度に在宅看護論臨地実習を修了して評価を終えた10名の学生のケースレポートを分析対象とした。4.3データ分析方法10名の学生のケースレポートを熟読し、認知症独居高齢者宅への看護師との同行訪問等を通して「なるほど、そうか、わかった」という実感を伴う文章を抽出し、意味のある内容を一つの単位として区切りコード化した。作成したコードの意味内容を検討し、類似した意味を持つものを集め、抽象度を比較しながら編成を検討し、サブカテゴリー、カテゴリー化をした。分析は、在宅看護論臨地実習の指導経験があり、質的研究の実績を有する4名の教員が、繰り返し検討を重ねて、信憑性の確保に努めた。4.4倫理的配慮本研究は、中部大学倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号20220123)。倫理的配慮として、対象学生には研究趣旨、参加は任意であり協力しないことに対する不利益は生じないことを口頭および文書で説明し、同意書を取得した。また、対象学生は本学の在宅看護論臨地実習の成績が確定した者である。5結果5.1認知症独居高齢者を受持った学生の学び10名のケースレポートを分析した結果、104単位のコードが抽出され、18《サブカテゴリー》と3カテゴリー【認知症独居高齢者の今の暮らし方】、【認知症独居高齢者が今の生活を継続できるための訪問看護師の支援】、【認知症独居高齢者が今の生活を継続できるためのチームでの支援】が生成された(表1参照)。以下に各カテゴリーについて説明する。なお、文中の【】はカテゴリーを、《》はサブカテゴリーを、<斜体>は学生のレポートの記述を示す。学生のレポートの内容については、意味を理解しやすいように一部修正した。中部大学教育研究No.25(2025)―2―表1在宅看護論臨地実習を通して、認知症独居高齢者を受持った学生の学び
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