中部大学教育研究2022
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学ぶ中で、分からないことがあれば自分で調べた」(h)で、これら3つの設問の回答分布を図3に示す。活動前の意欲(f)と、活動中の意欲(g)を比較すると、活動中に肯定的な回答をしている生徒が増加し、消極的または中庸な回答をしている生徒は3項目とも減少した。もともと情熱を持っていなかった生徒を含めて、大学教員の講義(体験的な活動)を通してテーマへの情熱を引き出す内容となっていた。設問(h)では「テーマについて学ぶ中で、分からないことがあれば自分で調べたか」を尋ねた。60%を超える生徒が肯定的に回答しており、本活動に授業外の生徒の自主学習を促す効果があったと評価できる。(2)テーマへの理解・新しい発見次に、大学教員のテーマについての理解や発見、さらに学びたいかを調べた(図4)。「テーマの内容はよく理解できていたと思う」(i)という設問では、60%を超える生徒が内容を理解できたと感じていた。「学ぶ中で新しい発見や知識が得られたか」(j)では、関連質問項目の中では最も肯定的な回答をした生徒が多く、80%を超えた。ほとんどの大学教員の講義により、新しい発見や知識に触れることができ、刺激になったと感じていた。「もっと学びたいという気持ちを持ったか」(k)という設問では、70%以上の生徒が肯定的な回答をした。大学教員の体験型の講義は、生徒が理解した実感を持ちながら取り組んでおり、新たな発見や知識を得ながら、もっと学びたいという意欲を引き出していた。3.3将来に関わる影響(1)進路選択への影響図5は、選択テーマを通して中学生が将来の進路選択に及ぼした影響についての回答分布を示している。ここでは、文系・理系の選択(l)、大学の学部・学科の選択(m)、職業の選択(n)について調査した。文理選択(l)では、消極的と中庸が70%以上を占めた。中高一貫校での文理選択が高校2年なので、中学生では文理選択に対する意識はまだ薄いようである。大学の学部選択(m)、職業選択(n)についてはさらに先の話であり、積極的な回答の割合は少なかった。一方、文系テーマと理系テーマの比較について、「選択したテーマについてより深く勉強できる学部に入学したいと感じた」という設問(m)では、理系テーマの方が肯定的な回答をした生徒が多く、統計的な有意差が確認された。(2)総合評価・体験型授業の面白さ図6に中大連携活動への生徒の「総合的な評価」に関する質問の結果を示す。中学校での通常授業に対して、加えられた中大連携活動を面白いと感じられたかを調査した。60%を超える生徒が、中大連携活動をいつもの座学の授業よりも面白かったと回答している(o)。また、80%強の生徒が、この中大連携の時間をもっと増やしてほしいと考えていた(p)。大学教員・中学教諭の努力で実現している中大連携活動であるが、生徒に望まれる活動として受け入れられていることが示された。中部大学教育研究No.22(2022)―4―5365575057553628201161471110%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図3意欲・主体性に関する回答分布59854759485133164145122360%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図4テーマ内容への理解・興味に関する回答分布2222232418255446462333243438390%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%図5将来の進路決定に及ぼす影響
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