中部大学教育研究24
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軸と横軸を設定し、極力定量的な分類に徹したグループも現れた。3.3おとなり見学タイム一つの教室で、複数のグループに分かれてブレインストーミングを展開していると、隣のグループの進捗状況やアイディアが気になってくる。この時間帯を見計らって、互いのグループのホワイトボードの状況を見学し合う時間帯を設けた。その様子を図3に示す。この時間帯を挟むことにより、煮詰まった議論が再び前進を始める事例が見られた。4受講者の反応4.1受講者アンケート本取り組みによる授業の2023年度秋学期と2024年度春学期に開講したクラスの中から5クラス計116名の受講者にアンケートを実施した。その集計結果を図4に示す。設問1-1~1-4は全体を通しての感想、設問2-1~2-5は受講者間での議論(討論・グループワークなど)について、そして設問3-1、3-2はレポート(小論文・報告書など)についての評価である。各設問について5段階評価で回答、最高評価を5点~最低評価を1点に換算し、その設問毎の平均点(5点満点)を比較した。全ての設問において4点以上と、概ね高い評価を得たが、設問によって多少の評価のばらつきが見られる。特に設問2-2[この授業の議論では、あなたの考えを的確に話すことはできましたか?]への評価平均は4.12点と、全ての設問の中で最も低い評価であった。設問2-1[この授業では、他の授業と比べて自身の発言(グループ内での討論を含む)回数は増えましたか?]に関しても4.27点であり、設問全体の中で特に高い評価とはなっていない。2.1節で述べた通り、本取り組みの重要な狙いの一つは、「考えを口に出してみる」ことを出発点に、「新しい探究を生み出していく体験」へと移行する場を提供することである。その観点からは、今後、参加者が自身の想いを自然と表現できる教室をどう創るのかについて、さらなる工夫が必要である。一方で設問2-3[この授業の議論では、あなたの考えを十分聞いてもらうことはできましたか?]は4.65点、設問2-4[他の受講者の意見は、参考になりましたか?]は4.69点と高評価であった。本取り組みのもう一つの重要な狙いである、「他者の意見を尊重しつつ自身の探究を深化させて行く」ことを経験させる部分においては、充分効果が得られている。設問2-5[教員の講義(解説)やコメント・指導等の内容は、議論を発展させる上で参考になりましたか?]に関しては平均4.72点で、全設問中最高評価であった。議論の適切な局面で、探究を発展させるためのアシストが出来ているようである。4.2自由記述本稿末尾表1に全授業時間終了後の自由記述の例(2023年度1クラス分の全回答)を示す。これらの調査は、授業時間外に受講者の協力を得て行われた。教育研究の資料として個人情報は取得せず、原文のママの公表について同意を得た上で、紙媒体の調査票に記入されたものを回収した。成績評価には影響がない旨などを伝え、授業内の取り組みとは切り離して実施した。概ね狙い通りの反応が得られている。特に、普段顔中部大学教育研究No.24(2024)―80―図3他のグループのブレインストーミングの状況を互いに見学する様子図4受講者アンケートの結果問1-1.思考の深まりを感じたか問1-2.新しい発見や新しい視点の獲得はあったか問1-3.学生主体で双方向の授業をもっと受けたいか問1-4.学生主体で双方向の授業がもっと増えると良いか問2-1.自身の発言回数は増えたか問2-2.考えを的確に話すことはできたか問2-3.考えを十分聞いてもらうことはできたか問2-4.他の受講者の意見は、参考になったか問2-5.教員の講義(解説)やコメント・指導等の内容は、議論を発展させる上で参考になったか問3-1.レポート(小論文・報告書など)を書く上で、教員の指導内容は参考になったか問3-2.レポートやコメントシートなどの文章で考えを表現することができたか

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