中部大学教育研究23
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1はじめに英語運用能力を測る代表的な試験には、実用英語技能検定(英検)、TOEICTests1)、TOEFLiBT2)、TOEFLITP、IELTS3)、CASEC4)などがある。このなかで、学生にとって最も知られているのは英検だろう。英検は一次試験(リーディング・リスニング・ライティング)と二次試験(スピーキング)とに分かれており、一次試験の合格者が二次試験を受験することができる5)。TOEICTestsにはListening&ReadingTestとSpeaking&WritingTestsがある。この2つの試験を受けることで、英語の4技能を測ることができる。それぞれのテストの詳細については次節で触れる。TOEFLiBTが4技能を測る試験であるのに対し、TOEFLITPはリーディングとリスニングの試験である。IELTSもTOEFLiBTと同じく、4技能を測る試験である。TOEFLiBT同様、高等教育機関で必要となる英語運用能力を測るアカデミック・モジュールのほか、日常生活で使用する実践的な英語力を測るジェネラル・トレーニング・モジュールがある。CASECはリスニングとリーディングの試験である。こうした英語資格試験のなか、英語英米文化学科では、学生の英語運用能力を定期的に測定する試験としてTOEICListening&ReadingTest(以下TOEICL&R)を採用し、4年間で6回受験させている。この試験は、比較的安価であり、合否ではなくスコアが示されるため、英語力を定期的に確認するのに適した試験だといえる。ただし、4技能のうち測定できるのはリスニング力とリーディング力のみである。そこで、今回は学生の英語発信力を評価するため、2022年度・2023年度の岩手県立大学主催「復興防災学習プログラム」に参加(予定)の学生を主な対象として、TOEICSpeaking&Writing(以下TOEICS&W)を実施した。以下では、2022年度から2023年度にかけて実施したTOEICL&Rのスコア分布とTOEICS&Wのスコアを示す。また、TOEICL&Rとフレッシュマンテストの平均点を比較し、両者の傾向が類似していることを指摘する。2TOEICTestsについて一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(TheInstituteforInternationalBusinessCommunication;以下IIBC)が実施するTOEICTestsには2種類のテストがある。1つは、「聞く・読む力を測る」テストであり、もう1つは「話す・書く力を測る」テストである。「聞く・読む力を測る」テストがTOEICL&Rであり、「話す・書く力を測る」テストがTOEICS&Wである。これら2つのテストは、「日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する、世界共通のテスト」(IIBC,2023,p.2)とされている。これら2つのテストを組み合わせることで、英語4技能の実力を測ることができる。2.1TOEICL&Rの概要TOEICL&RはListeningとReadingのテストである。問題数はそれぞれ100問、試験時間はListeningが約45分、Readingが75分、合計約120分である。テストの形式はマークシート方式である。スコアの範囲は、Listening・Readingともに、5点から495点まで5点刻みで示され、トータルスコアは10点から990点である6)。受験料は、公開テストが7,810円(税込:以下の受験料は全て税込価格)であるのに対し、IPテストでは団体特別受験制度により、4,230円で受験できる。さらに、賛助会員に登録している団体では、3,130円で受験可能である7)。次節で説明するTOEICS&Wとは異なり、TOEICL&RではListeningとReadingの両方のテストを受験する必要がある。TOEICL&Rのスコアによるコミュニケーション能―79―*1人文学部英語英米文化学科教授*2人文学部英語英米文化学科准教授TOEICTestsによる学生の英語発信力の評価について柳朋宏*1・キンググレゴリー*1・ローレンスデービット*2キーワードTOEICS&W、TOEICL&R、英語発信力、英語運用能力

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