中部大学教育研究24
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を合わせることのない他の学部・学科の学生同士が、少人数のグループの中で、具体的なテーマについて語り合う経験から、新しい視点を獲得した参加者が少なくないようである。「副産物」として、プレゼンテーションのスキルを身につけたことに満足する参加者も複数確認できた。当該クラスは全員がプレゼンテーションを経験した。プレゼンテーションツールの効果的な利用法や聴衆の話題への引き込み方などについても互いに評価し合った。5まとめ新しい授業をデザインし、その実践を通じて現代社会に対応できる人間力を如何に増幅し、社会に送り出すのか。これらの課題に答えを見出すべく、「体験型」、「ディスカッション型」および「小論文型」に大別される授業形態を企画し、実際の科目に適用し、試行を始めた。受講者アンケートおよび自由記述による感想・提案などから、これまでの取り組みの成果を検証した結果、概ね狙い通りの効果が表れている。新しい発見や新しい視点が獲得できたと考える受講者は圧倒的に多く、本取り組みを通過した学生の今後の成長が期待できる。その一方で、新たな課題が見えてきた。「考えを口に出してみる」ことから「新しい探究を生み出していく体験」へのステップアップに関しては、改善の余地が潜んでいる。今後の授業運営には、一層の経験と工夫が必要である。謝辞佐野充(中部大学副学長・人間力創成教育院長)先生には、筆者らが集い、新しい教育をスタートさせるきっかけとなる組織・環境の整備にご尽力いただいた。名古屋大学大学院環境学研究科の堀井雅恵(本学非常勤講師)先生には、グループワークの手法について、最新の情報とアドバイスを頂いた。ここに記して感謝申し上げる。引用文献川喜田二郎(1970)続・発想法-KJ法の展開と応用-,中公新書,中央公論新社.川喜田二郎(2017)発想法-創造性開発のために-改版,中公新書,中央公論新社.工藤健(2005)中部大学だからできる「やり直しのできる大学」への小さな一歩-新任教員の試行錯誤の記録-,中部大学教育研究,5,59-64.中野民夫(2001)ワークショップ-新しい学びと創造の場-,岩波新書,岩波書店.中野民夫(2003)ファシリテーション革命-参加型の場づくりの技法-,岩波アクティブ新書,岩波書店.孫泰蔵(2023)冒険の書AI時代のアンラーニング,日経BP.寺井一(2024)レポート・論文作成ハンドブック,中部大学人間力創成教育院.行本正雄(編)(2012)平成21年度採択文部科学省大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム『持続学のすすめ』による実践型人材の育成-文理融合型教育による「あてになる人間」の育成最終報告書,中部大学大学教育推進プログラム推進室.行本正雄・古澤礼太・工藤健・上野薫・金政真・吉村和也・山羽基・平沢太郎・河内信幸・羽後静子・伊藤守弘・藤丸郁代(2020)SDGs時代の持続学のすすめ-あてになる人間への挑戦-,コロナ社.全学からの学生参加による協働型授業の新規創成―81―

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