中部大学教育研究24
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1臨地実習の概要と事前指導管理栄養科学専攻では、栄養士免許および管理栄養士の国家試験受験資格を取得することができる。カリキュラムでは校外の臨地実習が必須科目となっていて、学生は管理栄養士の働く現場に赴いて実習を行う1)。臨地実習は、A:給食の運営(校外実習)、B:臨床栄養学、C:給食経営管理論、D:公衆栄養学の4分野にわたっている。実習期間は、多くの学生は、A(事業所)で1週間、B(病院)で2週間、C(福祉施設)あるいはD(保健所、健康増進施設)で1週間の合計4週間である。臨地実習の内容は、それぞれの分野特有の目標に則し、かつ、専門的な知識および技術の統合を図ることに留意したものとしている。いずれの臨地実習でも、学生は本学指定の実習ノートを持参し、毎日の活動内容、学んだことや気づきを記録する。本学では、基本的には、3年生の8-9月と2-3月に学生を臨地実習に出している。そのため、3年次春学期に「臨地実習演習」(全15回)を設け、臨地実習に行く準備をさせている。授業の概要および到達目標を表1に示した。この中には、臨地実習が効果的で効率的に進むことをねらいとして、臨地実習施設の指導者と学生との面談が含まれている。管理栄養科学専攻では、毎年臨地実習施設の管理栄養士を招いて臨地実習指導者会議を開催している。その機会を利用して、学生との面談を設定し、指導者側からは実習の心構えについて話し、実習生からは臨地実習に関する質問をして交流を図っている。2023年度は20名、2024年度は24―85―管理栄養士臨地実習ノートの書き方-臨地実習事前授業での取り組み-甲田道子*1・田中守*1・大西律子*2・佐久間直緒美*1・香西はな*2・近藤文*2・山中由実*3・橋本里穂*4・関川達志*4・渡邉章子*4・前野善孝*5要旨3年生を臨地実習に送り出す前の事前演習(全15回)で、「ノートの書き方」に重点を置き2年間指導した。臨地実習で実際に使用するノートの形式に慣れてもらうために、実習ノートを模倣したA4サイズの用紙2枚を事前演習で毎回配付した。1枚は授業のメモとして、もう1枚には授業で学んだことのまとめを記入させた。また、良くない例文を提示し、どのように修正加筆すればよいのか具体的に説明した。その結果2023年度実習生の「ノートの書き方」への実習施設からの評価は、前年2022年度の実習生よりも有意ではなかったものの高かった。今回の指導で一定の成果があったと考えている。しかし、2024年度は自分の意見や感想を書けない学生が多かったことから、継続して指導していく必要がある。キーワード実習ノートの書き方、臨地実習事前授業【授業の主旨(概要)】1.臨地実習の意義を理解し、学習効果の高い学外実習とすることを目的とする。2.講義・実習を通じて学んだ理論や実技を実際の場で施行すること(臨地実習)は、経験となり自分の力となる貴重な機会である。実習の目的を理解し、効果的な臨地実習になるように学習する。3.また、実習を通じて得た経験により専門機能に関する理解を深め意欲を高められるよう、実習終了後に行うレポート作成、実習報告・意見交換に関する方法や内容について学習する。【具体的達成目標】1.臨地実習の目的・目標を十分に理解し、実習先ごとの実習の目的、課題を明確に示すことができる2.臨地実習中に課題に積極的に臨めるよう課題に関して事前準備ができている3.実習中・後、実習先で得た知識や技術を整理しまとめることができる4.管理栄養士の役割や業務について理解を深め、説明することができる5.管理栄養士としての活躍に向けて、学習に関して今まで以上の積極的な取り組みとなる表1臨地実習演習の主旨(概要)および達成目標(シラバスから抜粋)*1応用生物学部食品栄養科学科管理栄養科学専攻准教授*2応用生物学部食品栄養科学科管理栄養科学専攻講師*3応用生物学部食品栄養科学科管理栄養科学専攻助教*4応用生物学部食品栄養科学科管理栄養科学専攻助手*5応用生物学部食品栄養科学科管理栄養科学専攻教授
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