中部大学教育研究24
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次に、8-9月と2-3月実習で比較した結果、2-3月ではAよりB評価の割合が高かった。2-3月で評価が低下した要因として、学生によるバイアスが考えられる。単位未取得のため8-9月は実習に行くことができなかった学生は2-3月から実習が始まった、また、春学期の授業から時間が経ち、同じ学生であってもノートを書くポイントなどの記憶が薄れてしまった可能性もある。2024年度の状況は授業期間の途中で回収したファイルから検討した。メモに関しては、学生間で丁寧さに差はあったものの、全員が取ることはできていた。しかし、考察が書かれていなかった学生が半数近くいた。また、記述が用紙の8割にも満たず、「何を書いたら良いのかわからない」と質問する学生もいた。4今後の課題渡邉(2024)は「学生と接する時の基本」3)として、①助言は具体的に、②なぜそうするのかを説明する、③できたときに評価する等の項目を挙げている。今回の取り組み「ノートの書き方」ではより具体的に示そうと心がけた。その結果、2023年度8-9月実習では効果があったと推察された。しかし、2024年度では考察を書いていない学生が多かった。わずか1回の講義だけでは、学生がそれを習得することは難しい。学生は1年次から各種実習や実験のレポートを書き、その度に「考察」部分を明瞭で論理的に書くように指導されているはずである。学生は、科学的なレポートと臨地実習のノートとは別のものだと認識しているのかどうかは不明であるが、臨地実習ノートの「考察」にあたる部分が書けない学生が多かった。この現状から見えてきたのは、「学び」とは何を意味するのかを理解していない学生が多いのではないかということである。「今日のまとめ」には、何を学んだのか、そこからどう考えたのかを書いてもらいたい。しかし、その日の講義で提示された情報を単に要約するにとどまり、それを「学び」としている学生が多かった。そこには、考察はない。もう一歩踏み込んでほしい。今後は、「学ぶ」とはどういうことなのかを学生に考えさせながら、もう一歩の踏み込み方を具体的に教えていくことが必要である。学生は毎年変わる。今回の取り組みを通して、指導内容を見直しながら根気よく継続指導することが重要であることを指導する側として我々は学んだ。参考文献1)日本栄養士会・全国栄養士養成施設協会編.臨地実習及び校外実習の実際.2014年版.2014.全国栄養士養成施設協会.東京2)古橋啓子ら.栄養総合演習Ⅰ・Ⅱにおける「臨地実習ノート・報告書チェック表」の活用.東海学園大学教育研究紀要.5:91-98,20213)渡邉素子.「不安定な情勢下での学生対応、多様化の進む学生の特徴と接し方」中部大学第157回キャリアアッププログラム.2024年9月4日(配布資料)管理栄養士臨地実習ノートの書き方―87―図2実習施設からの「ノートの書き方」の評価*A:良い、B:やや良い、C:どちらともいえない、D:やや悪い、E:悪い

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