幸友26
11/36

加藤 愛一郎(かとう あいいちろう)氏/1949年愛知県生まれ。1972年慶應義塾大学商学部卒業。1975年米国ルイビル大学大学院修士課程修了。同年株式会社コメットカトウ入社。1978年取締役企画部長就任。1985年常務取締役就任。1994年代表取締役社長就任。2021年代表取締役会長就任。現在に至る。 自然と周りから入り、特に学生時代には何度も耳にした言葉です。継続は大事だと、物事を続けていくことで意味を理解し、自分自身の成長も確認できた言葉でもありました。誰の言葉か調べてみると、明治から昭和を生きた住岡夜晃という宗教家の文献に、「念願は人格を決定す 継続は力なり」と記されているそうです。また、アメリカのイリノイ州の格言に、「Continuity is the Father of Success(継続は成功の父なり)」という似た言葉もあります。いずれにしても遠い昔の言葉ではなく、約100年前の近代化が進む日本で、皆が日常で努力する中で使われ始め、その意味に共感してきたように感じます。 当社は1920年の創業から業務用の調理機器を作り続けてきました。製品は時代によって変わってきましたが、自社で企画・開発・製造・販売・修理までのすべてを自社スタッフによるワンストップ体制で行うことをポリシーとしています。その実現には、非常に長い時間と努力が必要です。特にモノづくりは、技術を蓄積しノウハウの継承を行い、仕事をつないでいくことが大切です。実際に製品という形でお客様へ提案するには継続がないとできません。1985年、大手チェーンレストランに専用グリルの納入が始まり、取引は順調に拡大していました。その後、2003年に、お客様から生産性の高い機種に代えたいという要望を受け、新しい機種を提案することになりました。結果は不採用。20数年続いた取引がなくなってしまったのです。しかし、私たちは次のチャンスがあると信じて開発を続けました。機能や操作性などに改良を加えて何度か提案の機会を得て、遂に2017年、再び当社の製品を採用いただけたのです。まさに継続は力なりを体現した出来事でした。 調理機器の専門メーカーとして100余年続けてきましたが、海外で販売する機会が少なく、海外の売上は全体の数%しかありません。今後はグローバル戦略を立てて、海外の売上比率を高めていきたいと思っています。コロナ禍前に取り組んでいた東南アジアを中心とした販売網の整備を再開し、海外市場への進出を進めていきます。思い通りにならないことも続けることで道が開ける。株式会社コメットカトウ代表取締役会長エレクトロニクスのソリューションプロバイダー「東海エレクトロニクス」。加熱機器に特化した業務用調理機器の専門メーカー「コメットカトウ」。お客様の課題や時代が求めるニーズに、それぞれ真剣に向き合ってきたおふたりの幸友会会員企業の経営者にお話をお聞きしました。「継続は力なり」すみおかやこう10

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る