幸友26
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の燃焼方式の変化によりススが出にくくなったこともあり、通気性を良くするために囲いを取り払い、昭和40年代には改良型として両面を使用できるH型の匣鉢が開発された。こうして形を工夫したり、ミリ単位で調整したりすることで、均一な形のタイルの製造を支えてきたという。しかし、均質なタイルが作れるようになった一方で、昔の少しまばらでゆがんだ形のタイルの方が、愛着が湧く、可愛らしいという声もあるようで、トレンドや嗜好の変化には難しさがつきものだ。また同階にはギャラリーが併設され、企画展のスペースになっている。当日は、「工場賛歌 焼成編」というテーマで、タイルの焼成に焦点をあてた展示がちょうど行われていた。タイルの色や素材感といった「顔」となる部分を決定づける焼成のプロセスに注目した企画展は、2024年1月まで開催中だ。 2階は産業振興エリアと呼ばれるショールーム。タイルの相談はもちろん、現在、製造・流通しているタイルを、実際の生活の中でどのように活用したらよいかをシーンごとに分けて紹介している。さらに1階には、各種タイル商品をお土産として購入できるショップと、フォトフレームやコースター、小物入れなど、用意されたアイテムに自由にタイルを貼って自分好みに飾り付けることができる体験工房がある。気軽に楽しめるので、訪れた記念にぜひ体験してほしい。 さまざまな側面からタイルの魅力を満喫できるミュージアムでは、展示を見せるだけでなく、触れたり、作ったりといった体験型のワークショップも行われている。色と形の無限の組み合わせが生み出す多彩な表情と変幻自在な美しさ。そのデザインの可能性を暮らしに取り入れることができれば、日常に豊かな彩りを添えてくれるに違いない。〒507-0901 岐阜県多治見市笠原町2082-5TEL.0572-43-5101休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月29日~1月3日※最新情報はホームページでご確認ください。https://www.mosaictile-museum.jp/多治見市モザイクタイルミュージアム2023年9月9日(土)~2024年1月21日(日)9時00分~17時00分(入館は16時30分まで)開館以来3回にわたって「工場賛歌」のタイトルを冠して開催してきた企画展の第4弾「工場賛歌 焼成編」。原料編(2016年)、釉薬編(2017年)、成型編(2019年)を経て、タイルの最終段階「焼成」というプロセスに注目した展覧会です。「工場賛歌 焼成編」タイルを並べてシート張りするための「はり板」ば焼成の際に使用する「匣鉢」12

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