2024幸友 VOL.27
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マーケティングは、「製品」「価格」「流通」「販促」の「4P」で表されますが、その一つ、流通(チャネル)をメインに研究している清水真教授。中でも、環境マーケティングにおけるバックワード・チャネル(逆流通)について研究しています。メーカーがつくった商品が、卸、小売りを通して消費者へ流れていく通常の流通に対して、バックワード・チャネルは、使用後の廃棄物や使い終わった商品をどのようにメーカーに戻し、回収していくかという流れ。「調査を進めていくことで、今まで知らなかったことがわかる面白さが研究の醍醐味。メカニズムがわかったり、そのメカニズムを発展させて、他の課題解決に転用したりして戦略を考えるのが楽しい」と清水教授は語ります。まだ、モノを大量につくって売ることが商売の基本だった頃、環境マーケティングの研究に取り組んだきっかけは、師事していた先生の「これからは環境だ」との言葉だそうです。環境に対する風当たりがまだ強い時代、その逆風に逆らった好奇心が勝り、今に至ります。 近年では、ペットボトルや古着などを店内で回収する拠点回収をよく見かけます。デポジット制度もその一つで、一般廃棄物におけるメーカーの取り組みはさまざまです。一方、清水教授が以前に取り組んでいたのは、建物の解体等で発生する産業廃棄物、石膏ボードの再資源化について。きっかけは、石膏ボード内に含まれるといわれるフッ素の研究者からの依頼でした。その後、回収した廃石膏を土壌改良材にしたり、セメントに混ぜたりとリサイクルに成功。しかし、「新たな商品開発ができても、既に確立された流通に新規参入するのは困難」と、回収ルートのシステム化に成功しても、新商品を通常の流通にのせる方に課題が残ります。現在は、ある企業から衣料の回収に苦戦しているという相談を受け調査中。そこで、衣料の回収拠点として機能しやすいクリーニング屋に着目し、博多エリアでの事例を地元春日井で活用できないか調査を進めています。今や企業が環境に配慮した商品を消費者に提供することが当たり前の時代。しかし、循環型社会の構築には、往路だけではなく復路との両立が不可欠と考える必要がありそうです。マーケティング論、流通論、消費者行動環境マーケティングから社会的課題解決策の見出し しみず まこと 清水 真教授経営情報学部経営総合学科環境マーケティング消費者からメーカーへの回収ルートを考察する。循環型社会の構築に必要なものとは。循環型社会の構築に不可欠なバックワード・チャネルについて考える。専門分野研究テーマシーズ紹介研究室訪問研究室訪問フォワード・チャネルバックワード・チャネルメーカー卸売業者小売店消費者研究室訪問プロダクトプレイスプロモーションプライス13
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