2025幸友 VOL.28
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弁護士を目指した経緯や、四半世紀前に裁判で名古屋によく来ていたことなど、自己紹介からスタートした講演。まずは、企業法務弁護士の仕事として、会社の法務部の方から法律問題の質問や株主総会の運営の相談を受けたり、また、裁判になれば法廷で訴訟代理人を務め、場合によっては企業の不祥事の際の謝罪会見に同席したりすることもあると紹介しました。次に、「日本の司法制度の概略」として、裁判所と検察庁のそれぞれの組織や役職、東京には歴史的な経緯から例外的に3つの弁護士会が存在していることにも触れました。その後は、法曹になるための流れ、法科大学院の創設や予備試験の概略等、また、裁判所がどのように裁判を行っているかなど、現役ならではの視点で司法の今を解説しました。 講演の後半は、具体的な事件として、2015年に発覚した東芝の会計処理問題や東京電力の原発事故に関する訴訟をピックアップ。東芝の訴訟においては、地裁判決では経営陣の責任を認める判決を出した一方で、高裁では会社の訴えを棄却。また、東電の原発訴訟においても、一審で旧経営陣に13兆円の損害賠償判決を言い渡しながら、二審では巨大津波の予見可能性があったとは認められないと判断し、一審を取り消し株主側の請求を棄却していることを紹介。こうした事例を挙げながら、「裁判における合法か違法かの判断には、結果の重大性や世間が許すか許さないかという側面が少なからずある。司法としては、世論や社会からの期待に応えなければならず、応えなければ批判される。そうしたものを反映して国民感情から遊離しないようにしていることはあると思う」と語られました。自然科学の世界とは違い、携わる人によって全く異なる結論が出てしまうのが法律の世界だとし、よく耳にするコンプライアンスについては、「社会や世間の要請に応じることがコンプライアンスだと思う」と述べ、ありきたりな結論と前置きしつつ、企業人は、「社会的非難を回避し、非難されないようにすることが肝要だ」と講演を締めくくりました。9月12日(金)、中部大学フェア2025が開催されました。第20回目を迎えた今回は、企業法務を専門とする弁護士、島田邦雄氏による特別講演のほか、体育館にて、ポスターセッションやピッチ形式ミニ講演会、特別コーナー巡回ツアーが行われました。中部大学フェア2025〈演 題〉企業弁護士から見た司法の風景~我が国司法の仕組みを踏まえて~東京大学法学部 ハーバード大学ロースクール卒業。1986年4月 弁護士登録、1991年10月 ニューヨーク州弁護士、2010年7月 島田法律事務所代表パートナー。東急、日本卸電力取引所、山九等社外役員 現在に至る。島田法律事務所 代表弁護士 しまだ くにお 島田 邦雄氏特別講演会場:アクティブホール(不言実行館1階)講 師27
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