2024幸友 VOL.27
32/36
ガスコンロやガス給湯器などを製造販売する大手ガス器具メーカー、パロマの社長である小林氏の講演は、「創業113年を迎え、その長い歴史は山あり谷ありでした」という言葉でスタート。特に、2006年の湯沸器中毒事故は大きなターニングポイントだとして、当時の状況をつまびらかに語られました。まずは、湯沸器の構造をはじめ、強制的に排気を行う仕組みや安全装置を取り付けたにも関わらず事故に至った経緯を説明。本来、安全装置が作動しているためお湯が出ない症状であるのに対して、安全装置を作動させずにお湯を出す裏技を使うという不正改造があったことが最初に起きた問題だと回顧し、そうした事態を把握しながらも、「2006年当初、当社は製造物責任ではないという見解を示したが、社会には全く受け入れられなかった」と当時の状況を振り返りました。その後、経済産業省からの指導を経て、「当社としては、パロマの名前が付いている以上、製造して出荷し、お客さまにお使いいただいて最終的に廃棄されるその瞬間までとことん向き合っていこうと考えをあらためていった」と述べられました。その後の点検・回収作業の際には、もう一度商売をさせていただけませんかというお願いに、お客さまから逆に励まされた経験を紹介。それ以来、約18年の時を経て、製品安全は会社の一つの文化として作り上げることができつつあると語られました。加えて、その体制の維持についても言及。「製品事故以来、管理部を設けて問題が起こったときにはすべて私に情報が入る体制に転換。また、社外有識者の方からご意見をいただくなど一人の目で判断しないようにすること。そして最後は世の中が見ている、天が見ていると絶えず自らが意識することが自身の規律を守る砦だ」と語られました。また、VOC(お客さまの声)の重要性に触れ、「ほめられること」は大事なキーワードだとし、お客さまの「ありがとう」の言葉に、世の中に居場所を見つけることができたと話されました。最後は、社員研鑽として、製品事故を風化させないために、「失敗からの学び」と題した展示室を本社に設置していることや自身を戒める言葉などを紹介して講演を締めくくりました。株式会社パロマ こばやし ひろあき 代表取締役社長 小林 弘明氏2024年9月12日(木)、中部大学フェア2024が行われました。株式会社パロマの代表取締役社長、小林弘明氏による特別講演のほか、体育館にて、ポスターセッションやミニ講演会を実施。あわせて3つの研究テーマを見学するラボツアーが行われるなど、中部大学の研究シーズを紹介しました。中部大学フェア20242024『社会の中のパロマ』 ~失敗からの学び~演 題講 師特別講演会場:アクティブホール(不言実行館1階)31
元のページ
../index.html#32