幸友26
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 工場の自動化に欠かせないNC装置の世界的トップメーカー、ファナックの会長で、日本工作機械工業会会長も務められている稲葉氏。冒頭では、企業理念や創業者の言葉を紹介し、技術者としての心得について言及しました。その後は産業用ロボットのルーツに触れ、「産業用ロボットは労働者の仕事を奪うのでは?」という言葉に対して、「ロボットは人間の敵ではない。人間にとって便利な道具。上手に使えるかどうかは人間次第だ」と持論を展開。また、最近は、「CPS(サイバーフィジカルシステム)」という概念が重要だとし、サイバー空間と現実世界をどのようにデジタルでつなぐか、ロボットのケーブルの挙動の課題を例に挙げて紹介しました。さらに、次世代のスマート工場の実現には、熟練作業者の暗黙知をいかにデジタル化するか、現場の作業者のスキルやノウハウをいかにAIに取り込み、そのデータを誰にでも使えるようにしていくかが重要と説明。「人間は道具を使いこなす唯一の動物。生成AIも道具の一つで、この機能を上手に使った者が先端を走っていけると考えている。モノからコトへと言うが、私はモノがなければコトが始まらないと思っている。まずはモノをしっかりつくってからソフトによるソリューションを付加し、最終的には両方をうまく組み合わせることで最高のソリューションを提供できる」と述べました。世界は大競争時代で、日本の製造業が生き残っていくには、諸外国とどう戦うかを今まで以上に真剣に考えなくてはならないと語り、講演を締めくくりました。産業用ロボットが創る近未来の製造業ファナック株式会社取締役会長 いなば よしはる稲葉 善治氏2023年9月14日(木)、中部大学フェア2023が行われました。第18回目を迎えた今回は、ファナック株式会社取締役会長、稲葉善治氏による特別講演を開催。その後は、体育館にて、研究シーズ発表とミニ講演会、ポスターセッションが行われ、参加者は知的財産の交流を図りました。中部大学フェア中部大学フェア講 師会場:アクティブホール   (不言実行館1階)サイバー・物理空間の高度な融合による未来社会において基盤となる俯瞰的な空間情報を多解像度で収集するリモートセンシング情報。講演では、ドローンによる災害情報収集、人工衛星の先進的な活用をテーマに、研究成果と災害対応の事例等を紹介しました。画像認識分野や自然言語処理分野で高い性能を発揮し、日々さまざまな応用がなされている深層学習。講演では、深層学習技術の応用として、動画像中の人物やその他の移動物体の移動経路を予測する技術(経路予測)とその応用タスクについて解説しました。持続社会創成教育プログラム(PEPS)2023年度研究交流会本学大学院持続社会創成教育プログラム生がポスターセッションによる研究発表を行いました。リモートセンシング技術の最前線と災害対応への応用深層学習による歩行者の移動経路の予測中部高等学術研究所・国際GISセンター 准教授杉田 暁AI数理データサイエンスセンター 講師平川 翼ミニ講演会1ミニ講演会220232023特別講演33

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