2025幸友 VOL.28
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前島 経済産業省の資料によると、2040年には「AIやロボット等の活用を担う人材」と「生産工程(モノづくり)に関わる人材」の不足が目立つとされています。この不足を補うことが産業界からの要請ですが、大学の役割は職業の土台を作る専門性を高めること、人として世界を理解し世界の課題を読み解く力を身につけることです。また、大学はある意味失敗が許される期間ですから、学生が何事にも挑戦できる環境も整えたいと思っています。木野瀬 さまざまな職種がAIに置き変わってきていると感じています。しかし、置き換えられないものが2つあります。「クリエイティビティ」と「ホスピタリティ」です。たとえばAIを活用すれば良いデザインができますが、そこには、誰に何をどのような方法でアピールするかという視点が欠けています。社会から必要とされる企業人になるには、この2つの観点が不可欠です。入学時と卒業時で社会がガラッと変わる事態が起きうる時代、学生への教育は長期的なスパンで考えなければなりません。前島 学生時代は周りとコミュニケーションを図り、わからないことは聞き、何ができるのかを考え、新しいことに挑戦する。そして先のことを考えて提案ができる人になってほしいと思います。木野瀬 あわせて好奇心も必要です。人生100年時代の今、学生時代に身につけたものだけで卒業後80年を生き抜くことはできません。好奇心を持ち続けながらリスキリングしていく。この繰り返しです。前島 生涯学び続ける気持ちと貪欲さが必要ですね。研究者は新しい情報に触れていないと不安で、今何が解明されていて何が解明されていないのかがわからないと研究テーマを決められません。そうした知的好奇心が学生にも必要です。木野瀬 もう一つは考え方です。「ロジカルシンキング」や「クリティカルシンキング」といった考え方をきちんと持つことができればあらゆることに応用できます。大学では、専門分野と合わせてこれらの考え方も教えていただければ、柔軟な発想を持って社会に出られると思います。前島 たとえ激変の時代でも、恐れるのではなくその変化を楽しめる、あるいは挑戦できるチャンスと受け取れる余裕を学生には持ってほしいです。また、専門分野においては自分が変化を牽引していくんだという自信をつけさせてあげたいと思っています。企業からはよく即戦力を求められますが、容易なことではありません。木野瀬 企業は学生に即戦力を求めてはいません。戦力は自社でコツコツと養成するしかないのです。当社には中部大学の卒業生が十数人いますが、皆が戦力になっています。なぜなら入社後に学生時代以上に勉強するからです。中部大生には物事を素直に受け入れる土壌があります。この素直さは能力であり、アドバンテージだと思います。幸友会は今後、大学との連携をもっと密に取り、学生の活動に着目することが大事で、そこにこそ幸友会の役割やメリットがあるように思います。前島 学生が会社を選ぶ視点はさまざまですが、仕事を任せてもらえるかは大事な要素です。ここは任せたと言ってもらえると頑張る原動力になります。また、仕事を通して世の中に貢献できたり、感謝されたりすることに満足感があれば成長します。御社にはその要素があると感じました。木野瀬 当社の中部大学出身者は、営業職やデザイナー、SE、印刷オペレーターなどさまざまです。では、大学での学びを生かしているかというと、それも大事ですが、入社後にお客様と接点を持ったり失敗したりして得た学びが大きいです。自ら学び続ける好奇心を持てる土壌を育てる環境が大切で、そうした人間性を育てる場所が大学だと思います。前島 謙虚な姿勢が大切ですね。わからないことは学び続ければいい、できないことは身につければいいという気持ちが大事で、「無知の知」が土台になっているのでしょう。木野瀬 IT先進国のフィンランドは1990年代から教育現場にデジタル社会が求める人材像は、近年どのように変化していると感じますか。大学で育てたい、育ててほしい人材像を教えてください。学びのDX化やAI活用教育についてはどのように感じていますか。04

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