2024幸友 VOL.27
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お客様へプレゼンして商品説明をして採用してもらえたり、大きな注文を取れたとき。そして何よりお客様と話しているときです。近年、日本では会食禁止の場面も多いですが、中国にはまだ飲みニケーションがあります。海外のお客様とは距離感が近く、モノを売るだけでなく自分のファンになってもらえたときに喜びを感じます。木野瀬 生方さんはいかがですか。生方 社長になって2年目ですが、経営者の苦労は、常に未来への不安があること。現行製品を維持する体力はまだありますが、いつかは淘汰されるでしょう。そこにテコ入れするのは、会社が健全な状態である今。今こそ変革を加えることが大切だと感じています。また、労働組合との経営協議会でのこと。会社が辛い状況の中、労組の要求に対して、どうして私と同じ景色を見てくれないのかと思い先代の父に相談すると、「社員に気持ちよく仕事をしてもらうことが社長の仕事だ」と諭されました。孤独を感じるとともに、社員に気持ちよく働いてもらえるよう、あらためて利益の確保が最重要だということを学ばせてもらいました。木野瀬 部下の働きやすさに考慮した組織運営、サーバントマネジメントが必要ということですね。塚本さんはいかがですか。塚本 社会人になる選択をしたとき、人の幸せをどうしていくかを考えていました。ホテルでサービスを提供していたときも考えていたのは豊かな気持ちになってもらうこと。介護の世界へ転職しましたが、結局は人が大好き。だから、現場で人と関わっている時間が長ければ長いほど幸せを感じています。また、入居者様が楽しそうにしている施設は職員も安定しています。以前は、入居率や離職率の数字が点でしたが、あるときから全部が線で繋がっていることがわかりました。マネージングはデスクでできる。しかし、それならもっと面白くしたいと思い、現場へより通うようになってしまいました(笑)。仕事が好きというよりは根っから人が好きなんだと思います。木野瀬 折角のこうした機会ですので、経営陣の考えを会員の皆様へ伝えたくて聞いてみました。塚本 では、木野瀬さんに質問です。現在は会長ですが、木野瀬さんが社長業をお父様から譲り受けたときは、印刷一本だったと思います。お二人のご子息に譲るために分社したとは思いませんが、多角経営に変えた理由は何かありますか。木野瀬 一言で言えば、「業態変革」です。印刷は最初、活字を拾うことがプロの仕事でした。それが写植になり、フィルム、オフセットへと進化し、今はパソコン一つで賄えるようになってしまった。技術の進歩とともに育ってきた職人が、あるとき要らなくなってしまう。つまり、世の中に必要とされなければ淘汰されるということ。どんなに良い技術や印刷機を持っていても要らなくなる。そうした現実を目の当たりにして、世の中に必要とされる業態へ変革しなければならないと考えたのです。外部から見れば同じことをしているように見えても実は違う。それは皆さんも同じではないでしょうか。新美 自分たちが常に一番手を走っていたいという思いはあります。海外で特 集 特 集 事業承継と企業存続を考える木野瀬印刷㈱が商品企画からデザイン、製造までを手がけたオリジナル文具・雑貨を多数取り揃えたオンラインショップサイト「こころとどむ」。累計50万人以上が来場している日本最大級の文具の祭典「文具女子博」にも出店している。06
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