2024幸友 VOL.27
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ます。今ならまだ外国人の方にとって、治安や社会保障、食べ物などが日本に永住する魅力になっているのかもしれません。しかし、今後の人口減少と合わせて、そうした魅力も失われていくならば、日本へ来てくれる人、永住する人を増やすための新たな魅力をつくらなければならないと感じます。木野瀬 これは愛知県だけではなく日本中の問題です。その上で大学に求めたいのは、外国人の受け入れや留学生に対する門戸拡大です。外国人との接点を持たない学生が多く、もったいないと感じます。外国人も日本へ来ると、母語で話せるグループをつくってしまい、日本人との間に壁ができてしまう。大学の制度として打開できればいいですし、企業も率先して広げていってほしいと思います。新美 当社は創業から現在まで歴代湯浅家が経営してきました。現社長は創業者の孫にあたり、次の後継者となる湯浅家は入社していません。今の社長は7年前に入社し、子どもに継ぐ意思がなければ継がせたくないという考えです。当社はいずれ同族経営ではなくなる時期を迎えるかもしれませんが、皆さんが同族についてどうお考えなのか率直な意見を聞かせてください。生方 私は企業が同族経営である必要はないと思っています。私も父も「企業は社会の公器」という松下幸之助氏の言葉を大事にしています。企業は社会が求める仕事を担い、トップだけでなく各職階が経営の役割を担わなければならないという考え方です。父は50歳で社長を退任し、私も45歳で退任すると宣言しています。企業の新陳代謝は時代の変化に対応するために必要で、そのための世代交代も必須です。私はあくまでオーナーでしかなく、大事なのはビジョンです。当社をつくった祖父がどんな思いで経営理念を据えて、何がやりたくて会社を興し、日本という国にどういう影響を与えたかったか、それを紡いでいくことがオーナーである私の役割。企業として社会から必要とされ続けることの方が重要で、アイデンティティは残すけれど、血縁を残すことは重要ではないと今は思っています。木野瀬 ご子息が入社された塚本さんはいかがですか?塚本 家の中でも顔を見るとつい仕事の話をしたくなるので、あまり同族はおすすめしません。しかし、とても新鮮です。経営に対して親子だからかズバッと突いてくる。これが100棟に繋がる一助になったと思います。また息子と同じタイミングで入社した若手がパワフルで意見も鋭い。その意見を聞き入れることが会社の成長に繋がると感じました。親子でなくても、新しい生命を流すことが企業の存続には重要で、既存の考えだけでは足りない部分があり、多様な力が不可欠だと思います。外国人スタッフも、今はSNSで日本中にいる母国の友人と情報交換をしている。他社にない魅力で惹きつけておかないとすぐに引き抜かれてしまう。今は、常にアンテナを張って聞く力を持ち、新しいものを取り入れていかなければならないと実感しています。生方 常に新しい時代を切り拓くのは若手だし、そうした若い世代の頑張創業100周年を迎えた日本で唯一のセラミックス・金属・樹脂の複合材質ヤーンガイド・装置類トータルメーカー。自社ブランドを確立し、世界各地の太い販売網を通じて世界20カ国以上の顧客に商品を販売。YUASAブランドは世界でも浸透し、信頼の証となっている。湯浅糸道工業株式会社幸友会会員企業一度なら力を尽くせばできる。継続することが企業の責任。湯浅糸道工業株式会社 取締役 営業部長 にいみ  たかし  新美 貴士氏同族経営のメリットとデメリット特 集 特 集 事業承継と企業存続を考える08

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