研究ガイドブック2024
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参-1-5 5 44 不不正正行行為為にに対対すするる基基本本姿姿勢勢 研究活動における不正行為は、研究活動とその成果発表の本質に反するもの であるという意味において、科学そのものに対する背信行為であり、また、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げるものであることから、研究費の多寡や出所の如何を問わず絶対に許されない。また、不正行為は、研究者の科学者としての存在意義を自ら否定するものであり、自己破壊につながるものでもある。 これらのことを個々の研究者はもとより、科学コミュニティや研究機関、配 分機関は理解して、不正行為に対して厳しい姿勢で臨まなければならない。 なお、不正行為への対応の取組が厳正なものでなければならないことは当然 であるが、学問の自由を侵すものとなってはならないことはもとより、大胆な仮説の発表が抑制されるなど、研究を萎縮させるものとなってはならず、むしろ不正への対応が研究を活性化させるものであるという本来の趣旨を忘れてはならない。 55 研研究究者者、、科科学学ココミミュュニニテティィ等等のの自自律律・・自自己己規規律律とと研研究究機機関関のの管管理理責責任任 (1)研究者、科学コミュニティ等の自律・自己規律 不正行為に対する対応は、研究者の倫理と社会的責任の問題として、その 防止と併せ、まずは研究者自らの規律、及び科学コミュニティ、研究機関の自律に基づく自浄作用としてなされなければならない。 自律・自浄作用の強化は、例えば、大学で言えば研究室・教室単位から学 科・専攻、更に学部・研究科などあらゆるレベルにおいて重要な課題として認識されなければならない。 このような研究者の自己規律を前提としつつ、科学コミュニティは全体と して、各研究者から公表された研究成果を厳正に吟味・評価することを通じて、人類共通の知的資産の蓄積過程に対して、品質管理を徹底していくという、極めて重い責務を遂行しなければならない。 その際、若手研究者を育てる指導者自身が、この自律・自己規律というこ とを理解し、若手研究者や学生にきちんと教育していくことが重要であり、このこと自体が指導者自身の自己規律でもある。このように指導者、若手研究者及び学生が自律・自己規律を理解することは、研究活動を通じた人材育成・教育を行う上での大前提になることを全ての研究者は心に銘記すべきである。また、複数の研究者等による共同研究の実施や論文作成の際、個々の研究者間の役割分担・責任を互いに明確化すべきことは、研究活動を行う大前提の問題、かつ研究者の自己規律の問題として全ての研究者に認識される必要がある。 (2)研究機関の管理責任 研究者は研究活動の本質を理解し、それに基づく作法や研究者倫理を身に 付けていることが当然の前提とされているが、研究者を目指す学生や若手研究者の中には、これらがどういうものであるかということについて十分な教育を受けていない、又はそのことについて研究指導に当たるべき研究者の中には、その責務を十分に自覚していない者が少なからずあるように見受けられる。また、不正行為が起きる背景には、競争的環境の急速な進展、研究分参考資料1

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