研究ガイドブック2024
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参-1-7 7 第第22節節 不不正正行行為為のの事事前前防防止止ののたためめのの取取組組 11 不不正正行行為為をを抑抑止止すするる環環境境整整備備 (1)研究倫理教育の実施による研究者倫理の向上 不正行為を事前に防止し、公正な研究活動を推進するためには、研究機関 において、研究者等に求められる倫理規範を修得等させるための教育(以下「研究倫理教育」という。)を確実に実施することなどにより、研究者倫理を向上させることがまず重要である。研究倫理教育の実施に当たっては、研究者の基本的責任、研究活動に対する姿勢などの研究者の行動規範のみならず、研究分野の特性に応じ、例えば、研究データとなる実験・観察ノート等の記録媒体の作成(作成方法等を含む。)・保管や実験試料・試薬の保存、論文作成の際の各研究者間における役割分担・責任関係の明確化など、研究活動に関して守るべき作法についての知識や技術を研究者等に修得・習熟させることが必要である。 研究倫理教育の実施に当たっては、各研究機関では、それぞれ所属する研 究者に加え、将来研究者を目指す人材や研究支援人材など、広く研究活動に関わる者を対象に実施する必要がある。例えば、諸外国や民間企業からの研究者や留学生などが研究機関において一時的に共同研究を行う場合であっても、当該研究機関において研究倫理教育を受講できるよう配慮する必要がある。 さらに、近年、産学官連携の深化に伴い、学生等が共同研究や技術移転活 動に参画する機会も増えてきていることから、大学の教職員や研究者のみならず、研究活動に関わる学生等が、実際に起こり得る課題に対応できるような判断力を養うために、利益相反の考え方や守秘義務についても知識として修得することが重要である。 このため、研究機関においては、「研究倫理教育責任者」の設置※5などの 必要な体制整備を図り、所属する研究者、研究支援人材など、広く研究活動に関わる者を対象に定期的に研究倫理教育を実施することにより、研究者等に研究者倫理に関する知識を定着、更新させることが求められる。このような自律性を高める取組は、学生や若手研究者の研究活動を指導する立場の研究者が自ら積極的に取り組むべきである。研究機関全体として、研究倫理教育を徹底し研究者としての規範意識を向上していくため、このような指導的立場の研究者に対しても、一定期間ごとに研究倫理教育に関するプログラムを履修させることが適切である。 特に、大学においては、研究者のみならず、学生の研究者倫理に関する規 範意識を徹底していくため、各大学の教育研究上の目的及び専攻分野の特性に応じて、学生に対する研究倫理教育の実施を推進していくことが求められる。具体的には、大学院生に対しては、専攻分野の特性に応じて、研究者倫 ※5「研究倫理教育責任者」の設置については「第3節 2 研究・配分機関における規程・体制の整備及び公表」を参照のこと。 参考資料1

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