研究ガイドブック2024
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参-1-17 17 (2)特定不正行為の疑惑への説明責任 調査委員会の調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法と手続にのっとって行われたこと、論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。 (3)特定不正行為か否かの認定 ① 調査委員会は、上記(2)により被告発者が行う説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、特定不正行為か否かの認定を行う。証拠の証明力は、調査委員会の判断に委ねられるが、被告発者の研究体制、データチェックのなされ方など様々な点から客観的不正行為事実及び故意性等を判断することが重要である。なお、被告発者の自認を唯一の証拠として特定不正行為と認定することはできない。 ② 特定不正行為に関する証拠が提出された場合には、被告発者の説明及びその他の証拠によって、特定不正行為であるとの疑いが覆されないときは、特定不正行為と認定される。 また、被告発者が生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在など、本来存在するべき基本的な要素の不足により、特定不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも同様とする。ただし、被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず、その責によらない理由(例えば災害など)により、上記の基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合はこの限りではない。また、生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在などが、各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間や被告発者が所属する、又は告発に係る研究活動を行っていたときに所属していた研究機関が定める保存期間を超えることによるものである場合についても同様とする。 ③ 上記(2)の説明責任の程度及び上記②の本来存在するべき基本的要素については、研究分野の特性に応じ、調査委員会の判断に委ねられる。 (4)調査結果の通知及び報告 ① 調査機関は、調査結果(認定を含む。以下同じ。)を速やかに告発者及び 被告発者(被告発者以外で特定不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)に通知する。被告発者が調査機関以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも当該調査結果を通知する。 ② 上記①に加えて、調査機関は、その事案に係る配分機関等及び文部科学省に当該調査結果を報告する※7。 ③ 悪意に基づく告発との認定があった場合、調査機関は告発者の所属機関に も通知する。 ※7調査結果を配分機関等及び文部科学省に報告する際、その報告書に盛り込むべき事項を「参考資料2」に示す。 参考資料1

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