研究ガイドブック2024
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はじめに 1964年、春日井の丘陵地に中部工業大学(機械工学科、電気工学科、土木工学科、建築学科)が開学し、三浦幸平先生が初代学長に就任しました。1971年には、2専攻を持つ大学院修士課程を設置、その2年後には博士課程を設置しました。そして、1984年に新たに2学部を設置、中部大学へと名称を変更し、その後も時代の趨勢を見極めながら発展を続け、創立から60年の時を経て、8学部27学科、6研究科20専攻を擁する総合大学へとさらに進化してきました。 中部大学の基本理念は「不言実行、あてになる人間」を信条とし、豊かな教養、自立心と公益心、国際的な視野、専門的能力と実行力を備えた、信頼される人間を育成するとともに、優れた研究成果をあげ、保有する知的・物的資源を広く提供することにより、社会の発展に貢献することです。そして、研究上の使命は「社会の発展に寄与する研究課題に取り組み、優れた研究成果をあげることによって、真理の探究と知の創造に貢献します」と明文化されています。 大学における研究活動は、教育活動と並んで、高等教育機関が行う創造的活動です。研究者は知的好奇心を満たし、真理の追求に関わるだけでなく、これまでに得られた知見を利用し、社会が抱える様々な問題解決に果敢に挑戦し、大きな影響を及ぼしてきました。新型コロナウイルスなどの新たな感染症に対するワクチンの開発や遺伝子治療技術の進化、再生可能エネルギー技術開発による、持続可能なエネルギーへの転換、貧困や教育の不平等、人口減少、食糧の不均衡分配などの人間の安全保障に対する政策提言や社会改革の一端を担うなど、研究の成果が期待されると同時に社会的影響を与えるようになっています。 それらに呼応するかのように、研究不正も大きな社会問題として取り上げられるようになってきました。研究者のみならず、大学自体の社会的信頼が失墜する事態が相次ぐようになってきたのです。研究にかかわる全ての人が、夢や情熱を持ち、未知の領域に挑戦できる環境を保持できるためには、研究者一人ひとりが、様々な形で顕在化している研究不正の現状を知り、理解しなければなりません。特に、研究領域が既成の学問領域を超えて複雑に絡み合い、世界がグローバル化して研究環境も多様化する中で、予期せぬ問題が発生することもあります。研究者は学問の自由の下で、自由な研究と、どのような形でも影響されることなく、真理の探究を保証される場を失うことがないよう自重しなければなりません。 本研究ガイドブックは、中部大学における研究活動を進めるための指針として編纂されたものです。第Ⅰ章では、本学の研究に対する基本的な考え方を標榜し、第Ⅱ章では、研究に対する不正行為防止のための取り組みが示され、第Ⅲ章では、科学研究費助成事業をはじめとする競争的研究費への申請についての資格やスケジュール等の注意事項が記されています。第Ⅳ章では物件購入、人件費や旅費、図書資料購入等にかかる競争的研究費の経費執行について詳述し、執行にかかる必要な様式を示しています。第Ⅴ章では中部大学の研究倫理委員会規程、安全輸出管理規程をはじめとする様々な規定、取扱要領を掲載しています。最後に第Ⅵ章では参考資料として、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(2014年)、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(2021年改正)を掲載しています。 中部大学は「ガバナンスの強化」「意識改革」「不正防止システムの強化」の3本の柱を基に研究費不正、研究不正の根絶に努めることを宣言しています。そのためにも、この研究ガイドブックが研究に携わる皆さんにとって、研究推進に存分に有効となり、活用されることを強く期待しています。 2024年3月 中部大学長 竹 内 芳 美

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