中部大学研究紹介2024
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47独自HPキーワード相談に応じられる内容発光生物の総合的研究OBA Yuichi応用生物学部 環境生物科学科教授 大場 裕一発光生物(ホタルなど)の遺伝子ハプロタイプ解析、発光生物の分布調査、科学教材としての発光実験系の開発、発光生物を通じた科学教育(実験教室、講演会、著述、取材、展示協力)など 光る生きもののことを「発光生物」という。その代表はホタルであるが、日本に50種ものホタル科昆虫がいることはあまり知られていない。発光するミミズは日本に2種が知られているが、どちらも簡単に見つけることのできる普通種である。海の中には陸上よりもずっと多くの発光生物がいるが、ほとんどは深海に棲んでいるためそのライフスタイルを目にすることはめったにない。興味深いことに、これら多種多様な発光生物たちは、それぞれ独自の発光反応メカニズムを持っている。このことは、発光という形質が進化の過程で独立に何度も出現したことを意味している。私たちの研究グループでは、こうした発光生物の知られざる側面にさまざまな角度から光を当てて、独自の研究を展開している。【研究テーマ】●未知発光メカニズムの解明 発光メカニズムが未知の生物(発光キノコ、発光魚、発光ミミズ、発光菌類など) の発光物質の解明を試みている。●生物発光の進化の研究 発光メカニズムが既知の生物(ホタル、ウミホタル、コペポーダなど)について、 発光能の進化プロセスを研究している。2018年にホタルの全ゲノム解読に成功。●発光生物DNA バーコーディング 日本の発光生物を網羅的に収集し、遺伝子情報を保存するDNA バーコーディング プロジェクトを進めている。●発光生物の分布調査 ホタルやホタルミミズなどの日本国内の分布を調査し、遺伝子解析によりその系統 進化を研究している。●深海発光魚の視覚と発光 発光する深海魚ついて、視覚と発光の関わりからその生活様式を研究している。発光生物、ホタル、ホタルミミズ、発光菌類、発光魚、科学教育、科学教材、遺伝子解析「生きものが光る」というテーマを切り口に、科学啓蒙にも力を入れて講演会や執筆、科学館の展示協力など幅広い活動を行っている。ホタルミミズ(Microscolex phosphoreus)は、探し方さえ分かれば近所の公園などでも簡単に見つけることができることがわかった。ギリシア時代から人々を魅了してきた発光キノコについて、その発光に関わる物質を2015年ついに解明。試験管の中でその発光を再現することに成功した。離島から深海まで、日本全国の発光生物を調査し、遺伝子データを集めている。中部大学「発光生物学研究室」では、日本の発光生物に関するあらゆる情報を集約する準備を進めている。独自HPキーワード相談に応じられる内容寄生・共生・病原性の分子メカニズムとその進化 社会実装分野生物学を駆使した有害生物防除・駆除法の開発へHASEGAWA Koichi応用生物学部 環境生物科学科教授 長谷川 浩一線虫に関すること、害虫対策、科学教育線虫、節足動物、害虫、外来生物、生物農薬、IPM 本研究室では野外で見られる生物間関係の面白い現象を発見し、その現象の意味や進化の過程を問いながら分子遺伝学的に証明してゆくことを目指している。そこから人類の抱える諸問題の根本解決のヒントが期待できる。【主な研究テーマ】●森林感染症の解明と国際防疫 いまなお続くマツ材線虫病や新興感染症ブナ葉ぶくれ病など、森林生 態系及び産業上の国際的脅威となる森林感染症に取り組む。●動物寄生性線虫の寄生性進化および外来種問題 「寄生」は「共生」の一形態であり、宿主との間でバランスのとれた 関係性である。寄生生物が本来の宿主ではない生物の体内に入ってし まったときに「病原性」を発揮することがある。●農業病害虫、衛生害虫の生物学および生物防除法の開発 自然を改変しヒトの都合の良い環境をつくれば、有害生物が発生して しまうリスクも高くなる。生物学を駆使し、IPMにのっとった防除法・ 駆除法の開発を目指す。●生態防衛機構の基礎および応用研究 生物が様々な生活環境に適応するうえで、生態防衛機構を発達させて きた。線虫で見られる生態防衛機構の分子メカニズムを明らかにし、 ヒトの老化や疾病予防へと役立てる。応用生物学部応用生物学部
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