中部大学研究紹介2025
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47キーワード相談に応じられる内容双子葉植物の形態形成に関する研究KOJIMA Shoko  応用生物学部 環境生物科学科准教授小島 晶子植物分子育種、遺伝子組換え植物は、様々な遺伝子による調節を受けて、主要な光合成器官である葉を形作る。双子葉植物では、葉の表と裏が分化した後で、葉の平らな部分が伸びるというモデルが提唱されている。シロイヌナズナの ASYMMETRIC LEAVES2 は植物固有のタンパク質で、環境ストレスが存在しても、葉を正常に分化するのに関わると考えられる。本研究室では、葉を作る際の遺伝子ネットワークを明らかにするため、分子遺伝学的な手法を用いた研究を行っている。最近の研究から、葉が形成される際には、植物ホルモンであるサイトカイニンの合成酵素遺伝子が調節されていると考えている。シロイヌナズナで葉を形作る分子機構が明らかになると、他の植物種の培養や品種改良にも応用できる可能性がある。【研究テーマ】●シロイヌナズナの葉の形成における遺伝子ネットワークの解明とサイト カイニンの作用に関する研究●ブドウのRNAウイルス検出とウイルス非感染ブドウ樹の作出ウイルス感染していないブドウ樹を茎頂メリステムから個体再生する技術を開発している。この技術により、より成熟した、ワインの醸造に適 したブドウ樹の作出を目指している。植物、形態形成、分子遺伝学、ブドウキーワード相談に応じられる内容野生動物管理に役立つ腸内細菌研究 TSUCHIDA Sayaka応用生物学部 環境生物学科准教授土田 さやか腸内細菌研究、プロバイオティクス開発、微生物機能解析、環境保全研究腸内細菌は動物種ごとに異なっており、食べ物の消化や免疫賦活による宿主の健康維持に役立っています。様々な野生動物にも、その動物に特徴的な「共生腸内細菌」が存在しており、我々人間であればお腹を壊してしまうような、野生下の食べ物に含まれる反栄養物質や毒素を分解し、消化することができます。例えば、野生草食動物の食べる植物は、一般に人間の食べる野菜とは異なり、アルカロイドや青酸配糖体などの毒素や、タンニンなどの反栄養物質を含んでいます。野生動物はこれらの物質を、彼らの腸内細菌が持つ酵素によって分解し、無毒化することによって栄養としていることがわかってきました。我々は、このような野生動物の腸内細菌の持つ有用な性質に着目しプロバイオティクスを開発し、希少動物の保全に役立つ腸内細菌研究を行なっています。類縁の家畜種やペットなどの保健にも役立つと期待されています。 【研究テーマ】●ゴリラに特徴的な乳酸菌の研究野生個体、飼育個体問わず分離されるゴリラ特異的乳酸菌Lactobacillus gorillae の表現及び遺伝形質を、培養法や全ゲノム解析を用いて研究しています。  ●スローロリスおよびマーモセットの給餌改善が共生細菌にもたらす効果飼育スローロリスおよびマーモセットの給餌改善に伴い、消化管内細菌や口腔 内細菌がどのように変化したかを菌の生理性状により評価しています。●ライチョウの保護増殖に関する腸内細菌研究飼育ライチョウを野生復帰個体群として維持するために、野生型の腸内環境に 近づける試みを行っています。野生動物、腸内細菌、プロバイオ、保全、保健衛生応用生物学部応用生物学部

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