中部大学研究紹介2025
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51キーワード相談に応じられる内容 私たち人類は、太古から微生物による様々な発酵を利用して生活してきました。真核微生物は、糸状菌(カビ)や担子菌(キノコ)、酵母のことを指します。糸状菌、担子菌は細胞が連なった状態で生育するのに対し、酵母は一つの細胞の状態で生育するといった見た目の違いがあります。このため、酵母には分類学上は糸状菌(子嚢菌)系と担子菌系のものが混在しています。 酵母という言葉は一般的に、パンや酒類などに利用されるSaccharomyces(サッカロマイセス)属酵母を指しますが、私は、その他の酵母であっても産業利用できるものを特に研究対象としています。【研究テーマ】●発酵醸造用酵母の育種・改良による高品質な酒造り 清酒酵母が生産する吟醸香成分や有機酸などの生産量を改変することによって、フルーティーで甘い清酒や、低アルコールでも味のふくらみがある清酒造りを目指しています。酵母の育種・改良では、遺伝子組換えではなく、 突然変異という手法を用いています(図1)。●Non-conventional 酵母を用いた有用タンパク質生産Saccharomyces属以外のnon-conventional 酵母には、優れた有用物質生産能力があります。遺伝子組換え技術を活用し、酵素などの有用タンパク質生産に取り組んでいます(図2)。●Non-conventional 酵母を用いた高濃度有機性排水処理 醸造分野などの高濃度の排水を効率的に処理する研究をしています。真核微生物による物質生産・環境保全に関する研究社会実装分野醸造酵母開発および清酒造り、酵素生産、排水処理                        WATANABE Takashi応用生物学部 食品栄養科学科准教授渡部 貴志醸造用酵母の改良、評価、醸造微生物試験(真菌数、TTC染色、生酸菌数、麹米の細菌数、火落ち菌など)、自然界からの微生物探索、遺伝子組換え発酵醸造、酵母、突然変異育種、遺伝子組換え、酵素、排水処理21キーワード相談に応じられる内容調理科学の視点から食べ物の「おいしさ」を検証YAMANAKA Yumi応用生物学部 食品栄養科学科助教山中 由実食べ物のおいしさは「食材の特性」と「食材の調理加工方法」に由来する。 「食材の特性」は品種や生育方法、「食材の調理加工方法」は加熱方法、撹拌方法、調味料などの影響を受ける。本研究室では、これらの要因が、料理の品質に及ぼす影響を栄養、食感、味、組織構造などから検討している。その成果として「食材の特性」からは地域特産物の差別化につながり、「食材の調理加工方法」からは料理に適した熱源の提案や適切な調理加工工程のAI化から大量調理への応用が可能となる。【研究テーマ】●視覚情報から料理の品質を把握する 嚥下障害の人を対象に増粘剤を加えて料理にとろみをつけるが、そ のとろみを視覚情報から評価することができる。食べる時にとろみ を計器で測定することは困難なため、簡便な視覚情報が有効である ことを提案した。●加熱機器の違いが料理の品質に及ぼす影響 でんぷん性食品、たんぱく質食品、野菜類などの食品特性を活かし た加熱条件を検討している。●食材の品種などの違いと調理特性との関係 自然薯、大根、さつまいも、卵など熱源、調理加工工程、おいしさ、物性、食品組織独自HP調理加工、食品開発、食育応用生物学部応用生物学部

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