中部大学研究紹介2023
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55キーワード相談に応じられる内容調理科学の視点から食べ物の「おいしさ」を検証YAMANAKA Yumi応用生物学部 食品栄養科学科助教 山中 由実 食べ物のおいしさは「食材の特性」と「食材の調理加工方法」に由来する。 「食材の特性」は品種や生育方法、「食材の調理加工方法」は加熱方法、撹拌方法、調味料などの影響を受ける。本研究室では、これらの要因が、料理の品質に及ぼす影響を栄養、食感、味、組織構造などから検討している。その成果として「食材の特性」からは地域特産物の差別化につながり、「食材の調理加工方法」からは料理に適した熱源の提案や適切な調理加工工程のAI化から大量調理への応用が可能となる。【研究テーマ】●視覚情報から料理の品質を把握する 嚥下障害の人を対象に増粘剤を加えて料理にとろみをつけるが、そ のとろみを視覚情報から評価することができる。食べる時にとろみ を計器で測定することは困難なため、簡便な視覚情報が有効である ことを提案した。●加熱機器の違いが料理の品質に及ぼす影響 でんぷん性食品、たんぱく質食品、野菜類などの食品特性を活かし た加熱条件を検討している。●食材の品種などの違いと調理特性との関係 自然薯、大根、さつまいも、卵など熱源、調理加工工程、おいしさ、物性、食品組織独自HP調理加工、食品開発、食育キーワード相談に応じられる内容抗癌剤フルオロウラシルの効果を高める薬剤の研究MATSUMOTO Yoshihiro応用生物学部教授 松本 博フルオロウラシル系抗癌剤の作用機序、薬剤のDNA複製・修復への影響の評価、組み換え蛋白質の発現と精製 フルオロウラシル(5-uorouracil, FU) は、1957年に開発されて以来いまだに様々な癌に対する化学療法に広く使われているが、奏功率の低さ、副作用、耐性細胞の出現など改善の余地は多い。私たちは近年、FU をデオキシウリジン類似物である5-hydroxymethyl-2’-deoxyuridine (hmUdR) あるいは 5-formyl-2’deoxyuridine(foUdR) と組み合わせることにより、相乗的で劇的な致死効果が癌細胞(大腸癌細胞、HT-29, HCT 116; 膵臓癌細胞PANC-1; 肺癌細胞EXVX)に対して顕れることを見出した。それに対し、正常細胞(肺由来正常細胞、WI-38; 臍帯静脈細胞、HUVEC)では弱い効果しか見られなかった。この薬剤組み合わせの効果は、増殖が活発なS期の癌細胞のゲノムDNA中に単鎖切断を惹き起こすことに拠っており、その結果S期の途中でDNA複製が止まること、NADが枯渇することが解った。また PARP 阻害薬を加えると、DNA合成は完了するが、G2/Mチェックポイントで死に至ることも明らかになった。現在、単鎖切断を惹き起こすメカニズムの詳細解明を進めるとともに、hmUdR、foUdR 同様あるいはより以上の相乗効果を惹き起こす他のデオキシウリジン類似物を捜索している。【研究テーマ】●フルオロウラシルの作用機序、塩基除去DNA修復●ヌクレオシド類似物がDNA複製・修復に及ぼす影響の研究●組み換え蛋白質による 再構成系を用いたDNA複製・修復のメカニズムの解明抗癌剤、フルオロウラシル、DNA複製、DNA修復、組み換え蛋白質応用生物学部応用生物学部

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