中部大学研究紹介2024
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58特許P95参照キーワード相談に応じられる内容メラニンの医療応用に関する研究KAWAMOTO Yoshiyuki 生命健康科学部 生命医科学科准教授 川本 善之合成またはイカ墨抽出メラニンを用いた抗アレルギー剤、がん抑制剤等の開発 メラニンは皮膚においては紫外線による障害を防ぐ機能を持つことは良く知られている。自然界に広く分布し、イカ墨にも多量に含まれ、食しても安全な天然生体合成物質である。メラニンはアミノ酸のチロシンを初期物質として酸化重合によって生合成されるポリマーで、分子量が一定でなく、あらゆる溶媒に難溶性である。我々は、メラニンを生化学的緩衝液に容易に溶解する条件を初めて発見し、さらに水溶液に可溶なメラニンを独自に合成した。こうして調整した可溶化・可溶性メラニンは、アレルギー応答に重要な役割を担うマスト細胞の活性化を効果的に抑制することを初めて見出した。さらに、あらゆるがん細胞の増殖を抑制した我々が作製した可溶性メラニンは、安全性の高い新規抗アレルギー剤や、副作用の少ない制(静)がん剤の開発シーズとなり得ると考える。【研究テーマ】●メラニンの分子構造解析●可溶化・可溶性メラニンによるマスト細胞活性化抑制解析●可溶化・可溶性メラニンによるがん細胞増殖抑制メカニズムの解明●イカ墨メラニンによる抗アレルギー、細胞増殖抑制の解析●可溶化・可溶性メラニンの医療応用への検討メラニン、イカ墨、アレルギー、花粉症、がん、炎症 / 可溶性メラニンの化学合成不溶メラニンの完全可溶化独自HPキーワード相談に応じられる内容熱や痛みなどの感覚刺激を受容し調節する分子機構の研究社会実装分野筋痛などの疼痛 予防・軽減策の考案、保健医療・スポーツ分野KATANOSAKA Kimiaki生命健康科学部 生命医科学科准教授 片野坂 公明動物行動試験、感覚ニューロンの培養およびこれを用いた各種生理学実験、疼痛に関する薬効試験、感覚受容体タンパク質のバイオセンサーとしての応用 我々の皮膚・筋・内臓などの感覚は、感覚受容器(一次感覚ニューロン)が各々特定の刺激によって興奮することにより生じる。しかし、熱や機械刺激などを受容し、神経の活動へと変換するための分子機構については不明な点も多い。さらに、感覚受容器とそれに続く神経経路の活動の変調は、傷病時の痛み(痛覚過敏や自発痛)や感覚異常の要因でもあり、その予防と治療の観点からも重要な研究テーマである。私達は、遺伝子欠損マウス・培養感覚ニューロン・各種生理学実験・動物行動試験・免疫組織化学等、様々な手法を駆使して、感覚受容器の情報変換機構ならびに神経や筋の機械刺激に対する適応のしくみに関する研究を行っている。【研究テーマ】●高温痛覚刺激の受容メカニズムの解明 ラットやマウスを用いて高温感受性の痛み受容器細胞を同定し、その 発現分子と機能的特徴の解析から、高温受容のメカニズムを調べている。●培養感覚ニューロンの機械応答と活性調節機構●機械感受性イオンチャネルの生体における機能●炎症・神経損傷モデル動物での感覚受容器の機能変化●筋の機械受容応答と適応の分子基盤痛み、温度感覚、機械感覚、感覚ニューロン、イオンチャネル、痛覚過敏、筋肉痛、メカノバイオロジー生命健康科学部生命健康科学部

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