中部大学研究紹介2024
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59特許P95参照キーワード相談に応じられる内容骨と自然にくっつく生体材料の研究体にやさしい人工骨・人工関節・人工歯根を目指してTAKADAMA Hiroaki 生命健康科学部 生命医科学科准教授 髙玉 博朗表面処理(大比表面積化、高硬度化など)、加熱処理、雰囲気制御加熱、表面分析、骨結合性評価、生体材料の開発(人工骨・人工関節・人工椎体・人工歯根など) 超高齢社会の到来に伴い、骨、関節、背骨、歯などに問題を抱える人が増大している。特に、これらの部位が損傷すると歩けなくなるなど、生活が大幅に制限される恐れがある。しかし、人工関節や人工骨などを使用することにより社会復帰するまで改善できる。これまで当研究グループでは、チタン金属を表面処理することにより、元々はなかった骨と結合する性質をチタン金属に新たに付与することに成功し、新しい人工関節として医療認可を受けた。しかし、現行の材料にはまだ課題もあり、骨と結合する性質や耐摩耗性のさらなる向上、感染の抑制など様々な改良が望まれている。 また、実験動物を用いることなく試験管だけで評価できる擬似体液(SBF)を用いた骨結合性評価法のISO化を達成し、本法は全世界で使用されている。現在、その評価法にさらなる改良を検討している。【研究テーマ】●新規人工関節・人工骨・人工椎体・人工歯根などの開発 ・表面処理による骨と結合する性質の付与および向上 ・表面処理によるナノ多孔(大比表面積化)による骨との結合力向上 ・表面処理による高硬度化と耐摩耗性の付与 ・表面処理による抗菌性付与(感染防御)、骨芽細胞促進など●擬似体液を用いた骨結合性評価法の改良《その他テーマ》●大比表面積を有する電極の開発骨結合性(生体活性)、チタン、表面処理、人工関節、人工骨、擬似体液(SBF)特許P95参照キーワード相談に応じられる内容収縮リズム恒常性に着目した病気前診断の開発SHINTANI A. Seine 生命健康科学部 生命医科学科准教授 新谷 正嶺心臓・筋肉・生体リズムについて、溶液に浸かった無固定試料の電子顕微鏡計測、信号解析・画像処理・人工知能技術による解析手法の開発、病気の予兆検出の検討 心臓は、確率的にしか振舞えないタンパク質ナノ分子モーターの化学力学反応を一生涯休まず続く頑強な心拍リズムに変換し、我々の生命活動を支える重要な臓器である。心拍リズムの破綻は速やかな死につながるため、その仕組みには試行錯誤と淘汰の果ての叡智が詰まっていることが示唆されるが、その仕組みはまだ十分に分かっていない。 近年私は、温めた心筋細胞は心拍に近い周期の収縮リズム(HSOs; Hyperthermal Sarcomeric Oscillations)を生み出すこと、その収縮リズムには、他の周期で細胞内カルシウム濃度が変化しても、周期を一定に保つリズム恒常性(CRH; Contraction Rhythm Homeostasis)が備わっていることを発見した。 現在、生体組織から分離せずに、生体分子の挙動を計測するために、溶液に浸かったままの生体試料の微細な構造と動きを計測できる電子顕微鏡ライブイメージング法の開発を進めている。この計測手法によって、心臓が体温で安定かつ効率的な心拍リズムを刻む仕組みのさらなる解明と、その破綻としての心不全等の心疾患の予兆の早期発見や治療に効果的な方法の提案を目指している。【研究テーマ】●心臓が体温で安定かつ効率的な心拍を刻む仕組みの解明●溶液中で動く試料の電子顕微鏡ライブイメージング法の開発●心疾患の病気前診断と治療に効果的な方法の提案生物物理学、生理学、医用工学、人工知能技術生命健康科学部生命健康科学部

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