中部大学研究紹介2024
74/102

73キーワード相談に応じられる内容近代国家における文化的アイデンティティの形成と古代表象社会実装分野起源神話によるソフトパワーの増強TAMADA Atsuko  人文学部教授 玉田 敦子 ヨーロッパに「近代国家」が生成する過程において、古典古代の表象は本質的な役割を果たしてきた。近代国家の成立のためには、まず17世紀以来、ギリシア・ラテンの古典をめぐって様々な分野で展開された「近代古代論争」において〈近代〉の優越を示す必要があった。また、近代国家のアイデンティティ形成においては、19世紀以降において各国の帝国主義政策として顕現する国家間の覇権争いが影を落としていた。このためフランスは、ラテン語に換わってフランス語を新たな共通言語とするために国家機関、アカデミー・フランセーズを設立し、イエズス会などの修道会にフランス語による修辞学教育を委ねた。 本研究の目的は、「近代とは何か?」という人文学における最大の課題を見据えた上で、近代国家の形成において古典古代の表象が果たした役割を明らかにすることである。具体的には17世紀終盤にギリシア・ラテンの古典と当代のフランス文学の優劣をめぐって発生した近代古代論争が19世紀に「古代表象と近代意識との間の緊張関係」に発展する過程を手がかりに、以下の4つの軸を据えて考察を進めている。① 近代フランスの形成における近代古代論争② 近代フランスの形成と人文学教育③ 近代父権的家族の形成と国家④ フランス王立アカデミーの研究【近著】『啓蒙思想の百科事典』(分担執筆:項目「修辞学」「書簡」「崇高」)丸善出版、2023年。『はじめて学ぶフランスの歴史と文化』(分担執筆:「修辞学と文学の伝統」)ミネルヴァ書房、2020年。近代フランス文学、思想史、18世紀、修辞学、崇高 1674年にフランス国王歴史編纂官のボワローが仏訳、刊行した『崇高論』。紀元1世紀に書かれたとされる。18世紀フランスにおいて近代的な人文学を構築する基盤となったため、多くの著作が引用していた。独自HP近代フランス思想史、ジェンダー、文学教育、修辞学キーワード相談に応じられる内容デザイン優先のモノ作りの研究-100年廃れないイタリアのモノ作りに学ぶ-KOYAMA Taro人間力創成教育院 教養課題教育プログラム講師 小山 太郎車・家具・家電製品・自転車・船舶などのプロダクトデザイン分野、サービスデザイン分野、インテリアおよびファッションデザイン分野イタリアのデザイン思考、デザイン・マネジメント 、QOLの上昇 今やデザインは企業の付加価値の源泉となっています。デザインの目的は簡単には廃れないクオリティの高いかたち(フォルム)を製品に付与して、生活の質を高めることです。クオリティの高い「かたち」を実現する際、①人文学的側面(美術や詩情)、②社会科学的側面(職人の熟練労働など)、③自然科学的側面(主に工学)という三つの要素が考慮に入れられています。 当研究室では、イタリアのデザイン思考という、他に例のないテーマで研究を進め、イタリアの高級車や高級家電の作り方を研究しています。【研究テーマ】●デザイン優先のモノ作りの研究●イタリアのデザイン思考●イタリアの高級車・家電・クルーザーなどのデザイン手法●ビジョナリー(ブルースカイ)リサーチを可能にするソフトウェア開発●デザインプロジェクト管理ツール(多重円グラフ描画ソフト)の開発研究所・センター等人文学部

元のページ  ../index.html#74

このブックを見る