中部大学研究紹介2024
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80キーワード相談に応じられる内容FUKUI Hiromichi中部高等学術研究所教授 福井 弘道統合型GIS、ビッグデータ解析、環境アセスメント・環境計画、防災・危機管理計画、リスクコミュニケーション、合意形成手法に係ることなど 情報化社会の本質は、サイバースペースにおける意志決定が、リアルワールドに先導的な役割を果たすことにあります。デジタルアースとは、サイバースペース上に構築される俯瞰型情報基盤、多次元・多解像度で表現された地球であり、持続可能な地球の将来を考えるために、環境・災害等の「問題複合体」を解題する共同実験室、コミュニケーションのプラットフォームとして利用されることが期待されています。デジタルアースを用いて、地域から地球の変動を分析・解明し、現象のモデリングやシミュレーションを行い、合意形成、計画立案や政策形成に展開する方法論の探求とその社会的な実装、制度設計を行う研究領域、Geo-Informaticsを研究しています。【研究テーマ】●リアルタイムセンシングデータの相互運用、統合、俯瞰システムの開発 (衛星・航空機・UAVの利用、ビッグデータ解析、センサーウェブの実装など)●リスク事象にともなう不確実性の評価と可視化に関する研究●地域の減災、防災、リスク・危機管理システムに関する研究●地域における地球温暖化の適応策に関する研究●自治体の統合型GISの構築と利用に関する研究●リスク・環境・科学コミュニケーション手法に関する研究●国際災害支援情報基地構想に関する研究環境情報システム、地理情報システム、空間解析デジタルアースの構築と利用-Geo-Informaticsからのアプローチ-キーワード相談に応じられる内容キラルな形態形成の謎の解明と医療への応用 軟体動物でCRISPR/Cas9ゲノム編集に成功KURODA Reiko先端研究センター特定教授 黒田 玲子有機・無機・生体物質のキラル分光測定、光学分割、結晶状態での変換、ゲノム編集左右性、結晶、分光、機能性物質、動物の形態形成 結晶や生物が多数の分子から構築されるプロセスをキラリティー(左右性)を介して明らかにするカイロモルフォロジー研究を展開している。研究対象は有機化合物や金属錯体の結晶、蛋白質・ペプチド・DNAが作る膜やゲル、さらには、左右巻型のいる巻貝である。 巻貝研究では、1個の遺伝子をCRISPR/Cas9ゲノム編集でノックアウトするだけで右巻貝が代々左巻になることを実証し、1世紀の間、謎であった巻型決定遺伝子を同定した。全ての真核生物にあるアクチン伸長遺伝子で、左右性だけではなく、癌細胞の転移等も含め細胞の運動・形態に幅広く関与している。メカニズムを分子レベルで追求している。 軟体動物のゲノム編集は難しく、今のところ成功したのは世界で我々だけである。この手法を、巻貝を中間宿主とする重篤なヒト住血吸虫症の制御に向けた研究(非脊椎動物の免疫機構の理解)、および巻貝の特徴を利用してヒトの認知症研究に展開している。 一方、結晶、膜などの凝集状態に内在する巨視的異方性による偽の信号を除き正しいCD(Circular Dichroism)スペクトルを与えるキラル分光装置(UCS)を開発した(特許保持)。UCS-2,3号機は試料を水平に置く設計で、ジェル、粉末結晶等重力の影響を受ける試料の構造変化をリアルタイムに追跡できる。このように、結晶学・分光学・分子生物学・発生生物学と幅広い分野をカバーする。【研究テーマ】●動物の体の左右性決定機構を、巻貝をモデルに解明●巻貝へのゲノム編集で、感染症、認知症を克服 ●結晶状態での多形変換、キラリティーの創製、識別、増幅、転写など●UCSを用いた凝集状態における構造変化の追跡研究所・センター等研究所・センター等
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