中部大学研究紹介2023
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82キーワード相談に応じられる内容キラルな形態形成の謎の解明と医療への応用 軟体動物でCRISPR/Cas9ゲノム編集に成功KURODA Reiko先端研究センター特任教授 黒田 玲子有機・無機・生体物質のキラル分光測定、光学分割、結晶状態での変換、ゲノム編集左右性、結晶、分光、機能性物質、動物の形態形成 結晶や生物が多数の分子から構築されるプロセスをキラリティー(左右性)を介して明らかにするカイロモルフォロジー研究を展開している。研究対象は有機化合物や金属錯体の結晶、蛋白質・ペプチド・DNAが作る膜やゲル、さらには、左右巻型のいる巻貝である。 巻貝研究では、1個の遺伝子をCRISPR/Cas9ゲノム編集でノックアウトするだけで右巻貝が代々左巻になることを実証し、1世紀の間、謎であった巻型決定遺伝子を同定した。全ての真核生物にあるアクチン伸長遺伝子で、左右性だけではなく、癌細胞の転移等も含め細胞の運動・形態に幅広く関与している。メカニズムを分子レベルで追求している。 軟体動物のゲノム編集は難しく、今のところ成功したのは世界で我々だけである。この手法を、巻貝を中間宿主とする重篤なヒト住血吸虫症の制御に向けた研究(非脊椎動物の免疫機構の理解)、および巻貝の特徴を利用してヒトの認知症研究に展開している。 一方、結晶、膜などの凝集状態に内在する巨視的異方性による偽の信号を除き正しいCD(Circular Dichroism)スペクトルを与えるキラル分光装置(UCS)を開発した(特許保持)。UCS-2,3号機は試料を水平に置く設計で、ジェル、粉末結晶等重力の影響を受ける試料の構造変化をリアルタイムに追跡できる。このように、結晶学・分光学・分子生物学・発生生物学と幅広い分野をカバーする。【研究テーマ】●動物の体の左右性決定機構を、巻貝をモデルに解明●巻貝へのゲノム編集で、感染症、認知症を克服 ●結晶状態での多形変換、キラリティーの創製、識別、増幅、転写など●UCSを用いた凝集状態における構造変化の追跡キーワード相談に応じられる内容STEAM教育:研究アウトリーチ:Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育研究内容や研究成果を一般・社会に向けてわかりやすく伝える活動STEAM教育推進と研究アウトリーチの教育活用-高大連携による探究学習・課題研究の指導法開発- INOUE Noriyuki超伝導・持続可能エネルギー研究センター教授 井上徳之高等学校におけるSTEAM教育・課題研究等の指導法・カリキュラム開発大学・研究機関における高等学校等への研究アウトリーチの手法開発 研究アウトリーチを学校教育に活用する手法開発を研究してきており、特に「STEAM教育としての課題研究の指導法とカリキュラム構築の手法開発」(科研費)については高等学校および大学・研究機関等との共同研究を推進している。これまで研究開発学校( SSH)などと連携してきた成果を、一般校でも実施できるようにする段階を迎えている。 Society5.0に向けた人材育成では「人間の強み」が重要となり、技術革新の中で、文理分断からの脱却・文理両方を学ぶ高大接続改革が検討されている。新学習指導要領では探究的な学習が重視されるが、課題研究の指導法や、地域との協働による実施手法などについて、モデルケース開発とノウハウの普及展開が求められている。 これまで、研究者などによる出前授業をシリーズ学習(ユニット)として規格化し、その組み合わせで年間カリキュラムを構成する手法を開発している。授業から課外活動に発展させ、研究室での見学や実験・実習、科学合宿、合同発表会や学会主催「高校生シンポジウム」などをコーディネートしてきている。 【研究テーマ】●Society 5.0に向けた人材育成、 STEAM教育、 ESD/ SDGs●課題研究・探究的な学びの指導法の研究開発●科学教育連携ネットワーク構築、高大連携、学校と地域との協働●研究アウトリーチの教育活用、科学コミュニケーション新学習指導要領、STEAM教育、研究アウトリーチ、高大連携、科学コミュニケーション研究所・センター等研究所・センター等

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