中部大学研究紹介2023
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86キーワード相談に応じられる内容BP/KNAT1 KNAT2 (KNAT6)KAN2 YAB5 ARF3/ETT miR390 genemiR390TAS3 genetasiR-ARFARF4 DirectDirectIndirectIndirectRDR6Proximal-distal Polarity -Adaxial-abaxial Polarity -Medial-lateralPolarity -AS1AS21 2!!!植物バイオ技術による葉形のモデリング MACHIDA Chiyoko特定教授 町田 千代子植物バイオ技術について、遺伝子解析技術、ケミカルの作用機作、ワインとブドウ樹について 私達が研究材料として用いているシロイヌナズナは、植物バイオ研究における多くの新規な情報をもたらしたモデル植物である(図1)。葉の発生分化においては双子葉植物のモデルになっている。葉は3次元的な軸に沿って分化成長する主要な光合成器官であり、光エネルギーを化学エネルギーに変換する生化学反応を担う。 町田研究室では、ケミカルバイオロジーとバイオインフォマティクスを駆使した研究から、葉の形を決める遺伝子の制御ネットワークを構築した(図2)。特に、AS1とAS2遺伝子は、葉の形を決めるための鍵遺伝子であるとともに、様々な地球環境変動にも関わらず、双子葉植物の葉を扁平に展開するための守護神的機能をもつことが明らかになった。 DNAやRNAの解析技術の画期的な進歩により、種々の生物のゲノム情報が容易に得られるこれからの時代では、シロイヌナズナで構築した遺伝子の制御ネットワークは、優れたモデルとなる。これらの研究は、将来的には、光合成効率のよい植物の改良に直結すると期待されている。【研究テーマ】●植物の葉の発生分化の遺伝子制御ネットワークの構築●成長点培養によるウイルス非感染甲州ブドウ樹の作成 日本食に合う上質なワインが国内外で求められている。そのための鍵となる のがウイルスに感染していない甲州ブドウ樹から完熟度の高いブドウ果実を 造ることである(図3)。葉の形態形成、ケミカルバイオロジー、バイオインフォマティクス、遺伝子ネットワーク、ワイン、甲州ブドウ樹特許独自HPP99参照キーワード相談に応じられる内容革新的ペプチド化学合成YAMAMOTO Hisashi特定教授 山本 尚ペプチドの合成、創薬設計、ハイブリッドマテリアル 半世紀昔のメリフィールドのペプチド合成は、その独創性から世界を驚かせノーベル賞に輝いた。基本は、不溶性の高分子の活用とカルボン酸活性化剤の組み合わせである。その後半世紀、この技術は様々な持続的イノベーションによりゆっくりと発展してきた。しかしこの手法での合成ペプチドは高価格である。合成が収束的でなく直線的合成である事、ラセミ化異性体と欠落アミノ酸ペプチドの除去精製に時間と莫大な費用が必要な事が挙げられている。 私共の技術はメリフィールド法のカルボン酸活性化法を全否定することから始まった。カルボン酸活性化法が反応剤支配反応であるのに対して私共の反応は基質支配反応である。その特色は1)基質支配であるため、ラセミ化を完全に制圧できたこと。2)長年の夢であった、どのアミノ酸末端基でも可能な連結法(ペプチド・ライゲーション法)の成功。さらには、3)ペプチド合成に欠かすことのできない保護基からの解放である。これらのイノベーションによって、長年のリニア合成法に終止符を打ち、並列型の収束型合成法を確立した。 ペプチドはアミノ酸だけから構成されるので、「レゴ」のようにできる化合物数は有限で、幸いなことに計算化学が適応できる分子群である。私共は、北大前田教授の「仮想世界」と私共の「ペプチド合成の実世界」との間を切れ目なくつなぎ、世界で初めての「論理的ペプチド創薬設計戦略」を提供する。基質支配反応、触媒、ペプチドの収束型合成、理論的ペプチドデザイン研究所・センター等研究所・センター等

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