信頼72号
12/36
おとなのための特別講義SPECIAL LECTURE学生たちは通常、1学期に15回の講義を受けて単位を修得します。ここでは、先生が普段、学生に向けて行っている講義を1つピックアップして、保護者の皆様へ向けてギュギュッと凝縮。約5分で読める誌面講義、はじまります。母国語ではない言葉で執筆を続ける作家 「文芸」とは、文字で表現された芸術です。この授業では、北京で生まれ育ち、17歳で六四天安門事件を経験し、その後渡米したイーユン・リー氏の小説を扱います。彼女は母語の中国語ではなく、英語で創作。また、自身の作品が中国国内で翻訳・出版されることを拒んでいます。かつての中国では文学がプロパガンダの道具とされたこともあり、内容によっては作品が発売禁止処分を受けることもありました。1976年に「文化大革命」が収束してからは文芸に対する規制も緩和されましたが、依然として有形無形の束縛があることも事実です。彼女の作品では、自身の経験や見聞をもとに中国やアメリカで生きる人々の孤独や葛藤が描かれますが、こうした背景も読み解いていきます。POINT 01データ票を活用して「読み」を披露し固める 授業では、1つの短編作品を2回にわたって掘り下げます。その際に作成するのが「作品データ票」。事前に作品を読み、描かれた時間や場所、登場人物やあらすじ、疑問点などをまとめたものです。1回目は私が作ったデータ票を使い、作品を読む上で知っておいてほしい知識や物語の体系を解説した後、4、5人のグループに分かれます。そこで各自が作成したデータ票をもとに自分の「読み」を披露し合い、グループ全体で納得のいく解釈を固めます。2回目は、作品を論じる上で、私から問いを出し、その問いの答えをグループで出します。通常、私たちは自分の楽しみのために文学作品を読みますが、あえてレポートや論文を書くために「読み」の練習を行います。POINT 02POINT 0211
元のページ
../index.html#12