大学案内2024
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PICK UP TOPICS卒業研究を先取りした「応用化学創成実験」で高度な応用力・思考力を鍛える1年次から2年次の学生実験は、指示された通りに実験を行い、予想された結果が予想通りに得られることを目標として、基本的な実験技術や知識を身につけていきます。3年次秋学期開講の「応用化学創成実験」では、配属された研究室で卒業研究に直結した専門性の高いテーマで実験を進めていきます。個別に指導を受けながら自分なりのテーマを見出して、試行実験を繰り返す創成実験に取り組みます。その中で、実験の技術的なことから研究への向き合い方や思考の組み立て方、失敗のリカバリーの仕方まで、研究を進める上で必須となるさまざまなノウハウを身につけていきます。最後に実験結果をまとめてレポートを作成し、ポスター発表を行って得られた成果について議論します。4年生進級後に開始する卒業研究では、基盤科学、先端材料、環境調和の3分野に分かれた各研究室で、この応用化学創成実験で取り組んだテーマをさらに深めたり発展させたりして応用力を高めます。[山田 直臣研究室]ありふれた元素のみを使って高機能な光電材料をつくる電子機器の心臓部には化合物半導体というものが使われています。現在主流の化合物半導体は非常に優れた性能を示す一方で、地球上に限られた量しか存在しない「枯渇性」の元素を主成分として含んでいる問題があります。当研究室では、ありふれた元素を組み合わせて新しい電子材料を創ることに取り組んでいます。写真はその一例で、銅、亜鉛、よう素から構成される新しい「光る」半導体です。[籔内 一博研究室]分子を集めて組み立てて、働くゲルをつくる油の凝固剤や化粧品などに使用される分子(ゲル化剤)は、液体の中で直径数十~数百nmの繊維が網目状に絡み合った構造を作ることで液体を柔らかく固めます。当研究室では、網目状に集まる“仕掛け”を組み込んだ分子と、光や力で色や発光状態が変化する分子とを組み合わせることで、液体をただ固めるだけでなく、刺激や環境に応答して形や強さを変え、さまざまな機能を発揮するゲル材料の開発を進めています。光を当てると溶けるゲル(別の光で元に戻る)[宮内 俊幸研究室]植物由来バイオマスを基体とする新規化学材料の開発イオン交換樹脂や物質吸着材、固定化酵素の担体などの化学材料はその多くが石油資源を原料としていますが、資源の枯渇やCO2の排出など環境面での問題を抱えています。そこで、当研究室では循環資源である植物由来バイオマスに化学処理を加え、カーボンニュートラルで地球に優しい化学材料の開発に取り組んでいます。化学材料の応用としては、河川の浄化剤や化学処理により付加した触媒能を利用する新たな分析法の開発を目指しています。[石川 英里研究室]低エネルギー、低環境負荷で効率良く働く酸化触媒の開発ポリ酸は、多数のモリブデンやタングステンなどの金属原子が酸素原子と交互に結合したアニオンクラスターであり、反応溶液のpHや共存イオンの種類によって変幻自在に形を変え、性質も大きく変化します。私たちは反応中に自ら構造を変化させて、弱い酸化剤を使っても低温で有機酸化反応を促進させるポリ酸を発見しました。現在、このポリ酸を触媒として、再利用まで考慮した環境保全型の有機酸化反応系の開発を行っています。学び研究室研究室研究室研究室058

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