標記の件について下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。
多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
日時
2月12日(水曜日) 午後1時30分から午後4時30分
会場
リサーチセンター2階 大会議室、zoom配信
内容
研究発表会(午後1時30分~午後2時45分)
発表課題
「高アスペクト比ナノフィラーがポリアミド6複合材料の構造と物性に与える影響および新規機能開拓」
工学部 応用化学科 講師 守谷 せいら
「サボテンは地球温暖化を緩和しうるのか?:サボテンの特徴的な炭素蓄積機構に関する基盤的研究」
応用生物学部 環境生物科学科 准教授 堀部 貴紀
「操作したい骨格筋を光で収縮させる技術の創出」
生命健康科学部 スポーツ保健医療学科 准教授 堀田 典生
「運転時における身体的および精神的疲労で変化する脳活動とその脳機能回路の評価」
理工学部 AIロボティクス学科 准教授 稲垣 圭一郎
講演会(午後3時~午後4時30分)
講師
岡田 信二 教授(中部大学 理工学部 数理・物理サイエンス学科、ミュオン理工学研究センター)
講演タイトル
「ミュオンが拓く科学とフュージョンの未来」
講演概要
ミュオン(ミュー粒子とも呼ばれる)は、一般にはあまり馴染みのない粒子ですが、その独特な特性が科学と技術の最前線を切り拓いています。電子に似た性質を持ちながら、質量は電子の約200倍、寿命はわずか0.002ミリ秒という短命な素粒子です。この特異な性質により、ミュオンは電子と原子核の中間的な質量を持つ粒子として、原子分子物理学と原子核物理学の両分野にまたがる現象の観測を可能にし、通常の手法では捉えられない新しい物理現象を解明する鍵となっています。さらに、その応用可能性も注目を集めています。
我々は、ミュオン研究のさらなる飛躍を目指し、従来より一桁以上高いエネルギー分解能を持つ次世代検出器を開発・活用してきました。この取り組みにより、ミュオンを利用した研究は大きな進展を遂げ新たな科学的発見に加えて、応用技術の分野でも新たな可能性が広がっています。
その代表例が「ミュオン触媒フュージョン(Muon-Catalyzed Fusion; μCF)」です。この革新的なエネルギー生成技術は、 ミュオンを触媒として利用し、高温プラズマを必要とせずに核融合反応を促進するもので、初めて提案されたのは78年前のことでした。1970年代から2000年代にかけて盛んに研究されましたが、近年、新たな応用可能性が見出され、再び注目されています。現在では、具体的なμCF炉の設計やエンジニアリングの視点からの研究が進む一方、基礎物理学的な素過程の理解も、我々が取り組む精密理論計算や次世代検出器を用いた観測により大きく進展しています。
本講演では、ミュオンという粒子が基礎科学から応用技術、そして革新的なエネルギー生成技術に至るまで、どのように活用されているのかをわかりやすくご紹介します。特に、我々が主導して進める最新のミュオン触媒フュージョン研究の成果とその未来について解説します。この小さな粒子が持つ大きな可能性にぜひ触れていただき、ミュオンが切り拓く新たな科学と技術の可能性を感じていただければ幸いです。
お問い合わせ先
中部大学先端研究センター事務室(学術企画課)
TEL:0568-51-4852
E-mail:gjkikaku@office.chubu.ac.jp