自分のからだは「一体どのようにして動いているのだろうか?」時々、考えながら通学するとおもしろい!
食品栄養科学科
前野 善孝
からだの動きの解説
我々のからだは、37兆個の細胞からできており、それにより体液、骨、筋肉、諸臓器、神経などが形成され、皮膚、目、耳、鼻、口などにある感覚器から情報を得て、神経を介して複雑に筋肉を刺激してからだを動かしています。ひとつひとつの動作について、解剖生理学的に説明していくとおもしろいです。食品を見て、食して、消化・吸収した食品成分が体を動かすエネルギーになるまでを“なぜ?”、“どのようにして?”という疑問を投げかけながら、その疑問について解説できると理解も深まりおもしろいです。
飽食の時代が招く心疾患
飽食という言葉があたり前の時代に育った私たちは、常に適当量の摂食を意識して生活しなければなりません。この意識の低下が一つの要因となり、肥満、糖尿病、高血圧そして脂質異常症などの生活習慣病を患い、重症化すると脳卒中や心疾患になり、死に至ることがあります。重症化してしまった疾患に対しては、薬物投与や外科的処置により、その症状を軽減化する手段が施されています。しかし、これには高額な医療費が必要となります。この事態を未然に防ぐには、当然のことながら食生活の改善などを行わなければなりません。それでは、なぜ食生活の乱れが心疾患などの循環器障害に発展していくのか、その原因を明らかにするために私たちは何をすべきか、一緒に考え実験をしてみませんか。
心臓の働きを探る
前野ゼミでは、心疾患についての基礎研究にネズミの心臓から単離した心筋細胞を用いて実験を行っています。iPS細胞やES細胞を心筋に分化させた細胞を使う実験もありますが、私の研究室では、動物実験指針に基づき直接成熟動物の心臓から細胞を単離して、より実際に近い条件で実験を行っています。単離細胞に薬物を作用して、心疾患にみられる症状を再現し、その症状を緩和できる化学物質あるいは食品成分にはどのようなものがあるかを検索しています。
管理栄養士はすごい!
AI(人工知能)が進化し、さまざまな職場に導入され人の作業の手助けをしています。このままAIが進化し続けると多くの職業がAIに奪われ、生き残れない職業が出てくると懸念される意見もあります。ある大学の研究報告では、逆に将来AIが進歩しても、生き残れる職業、即ち、AIに取って代われない職業のランキングを挙げています。栄養士は11位でした。ところが、驚くことに内科医と外科医のランキングは15位でした。どんなに優れた栄養バランスの取れた食事メニュー提供しても、食べていただく人のその時の体調や心理状態などの少しの変化で「美味しくない」「食べたくない」と言って食べていただかなければ、栄養士の役割を果たせません。この点は、AIでは克服できないと思われます。
この高度な知識と経験を社会に還元できる管理栄養士、栄養士になってみませんか。