
中部大学のバス停から緩やかな坂を登り、大学のシンボルの一つ、時計台から左手の方へ歩いていくと、中部大学三浦記念図書館に辿り着きます。図書館の2階には、博物館が併設されていることをみなさんはご存知でしたか?
伊藤裕子ゼミでは12月17日、3年生国際専門演習Bを中部大学民族資料博物館にて行いました。11月1日から12月22日まで開催されていた、「中部大学国際関係学部創立40周年記念〜私とフィールド、私のコクサイ」展を訪れ、日頃講義を受けている国際関係学部の教員、中野先生、中山先生、宗先生の展示で学ぶとともに、教員・伊藤裕子の展示は、教員本人の解説とともに観覧し、フィールドである20世紀初頭イギリス文化について考える機会となりました。
国際学科では、講義室内、教室内での学びの他に、実際に外に出て現場で体験し、資料調査や聞き取り調査を行う学びがあります。これは教室内では不可能な、社会、文化、人、特定の国や地域などをリアルに感じ取る学びを含みます。



この記事では、今回の博物館での授業にまつわるゼミ生の感想を紹介し、教室の外でどのような学びを得ることができたのか紹介します。
T. Oさん
今回のゼミの講義では、建築・バレエ・料理という異なる分野が、20世紀初頭のヨーロッパにおけるモダニズム思想や生活様式の変化と深く結びついていることを学び、とても考えさせられました。
まず、アール・ヌーヴォー様式の建物で窓や屋根、ベランダに曲線が多用されている点が印象的だと思いました。四角い窓が当たり前だった時代に、自然を思わせる有機的な形を建築に取り入れ、街全体や住空間を新しい芸術で作り変えようとする強い意志を感じます。家具や壁紙、室内装飾まで含めて統一された空間は、建築が単なる箱ではなく、生活そのものを表現するものだったのではと考えます。
バレエの話では、ロシア・バレエ団が当時のパリに与えた衝撃の大きさに興味を持ちました。音楽、踊り、衣装、舞台美術が一体となり、ピカソやマティス、シャネル、ストラヴィンスキーといった芸術家が関わることで、バレエが総合芸術として成立していたことがよく分かりました。特に、先生の仰っていたプリミティビズムやエキゾチックな要素が取り入れられ、観客がまるで異文化の世界に入り込んだように感じさせる魅力が、仮装舞踏会やファッションへと波及していった理由だと考えます。また、ディアギレフ率いるロシア・バレエがバレエダンサーの社会的地位を高めたという話から、芸術が人々の価値観そのものを変える力を持っていたことを実感しました。
最後の料理の話では、当時の料理人が書いた誤字の多い記録そのものが、そのまま出版されている点に強い意義を感じます。普段は表に出てこない下層階級の生活や食文化が、レシピという形で残されていることはとても貴重だと思います。さらに、その挿絵をブルームズベリーの画家が描いていることで、古い内容と近代的な表現が共存している点が興味深いです。建築、バレエ、料理のいずれもが、思想と結びつきながら生活全体を変えていったことが、今回の講義を通してよく理解できました。

以上が学生の感想ですが、座学だけでは感じ取れない当時の文化や思想を感じ取り、異文化との融合による新しい文化の生成を学んでいます。国際学科では学内にとどまらず、外部機関に出かけてフィールドワークを行うゼミが少なからずあり、学生・教員共に楽しい学びを行なっています。
興味のある高校生の方はぜひ以下のリンクもご確認ください。
中部大学国際関係学部
伊藤裕子研究室

教員情報

所属:国際関係学部 国際学科、大学院 国際人間学研究科 言語文化専攻
最終学歴:サセクス大学大学院(イギリス)
学位:D.Phil. (Doctor of Philosophy, English Literature, Sussex University)
所属学会・役職:日本ヴァージニアウルフ協会、名古屋大学英文学会、日本英文学会
専門分野:英文学
研究テーマ:20世紀初頭イギリス文学・文化
授業科目:西洋文化史、演習、卒業研究、国際英語
共同研究キーワード:イギリス文学、イギリス文化、モダニズム、ヴァージニア・ウルフ、ブルームズベリ・グループ、ロシア・バレエ