2025年5月30日

  • 卒業生

2020(令和2)年度環境生物科学科卒業 青山三菜さん

青山さんメイン写真

命を守り、伝える仕事

青山さんサブ写真

「子どもの頃から動物が好きで、動物と関わる仕事に就きたいと思っていました」と語るのは、本学環境生物科学科卒業生の青山三菜さん。数ある動物関連の仕事の中でも、日本の野生動物に関心を持ち、富山市ファミリーパークを志した。富山市ファミリーパークでは、ライチョウやニホンカモシカ、オオワシなど日本の野生動物の飼育・展示に力を入れており、自然の中で生きる姿を伝えられることに魅力を感じたという。
 取材時(3月24日)はペンギンやインコ、熱帯の鳥類などの飼育を担当。獣舎の清掃、エサの準備、健康管理に加え、来園者への解説も行っている。イベントやガイドでは、写真や動画、標本を使って動物について紹介します。来園者が興味を持ってくれると、とてもやりがいを感じます」と話す。また、動物の繁殖に関わることも大きな喜びで、「エサの内容や量、環境の整備まで細かく気を配っています。繁殖が成功したときの達成感は格別です」と笑顔を見せる。

動物と共に進む道

青山さんが制作した動物紹介ボード

 仕事で最も大切にしているのは、動物の健康を守るための細やかな観察。「食欲や行動、糞の状態を毎日チェックし、異変がないかを確認するのが基本です」と語る。また、来園者に動物本来の生態を分かってもらえるよう、獣舎のレイアウトや解説ボードの内容にも工夫を凝らしている。
 一方で、動物園での仕事は体力面など大変なことも多い。特に、動物の世話以外にやりたいことがあっても限られた時間内に優先順位をつけて仕事を進めなければならない点は、悩むこともあるという。「時間の使い方や効率的な作業の進め方を常に考えるようになりました」と話す。

学生時代の探究が生きる現場へ

青山さんお話し中

 本学の環境生物科学科では、生態系や動物の行動を深く学んだ。また、在学中はオハイオ大学での長期研修に参加し、異文化の中で学ぶ経験を得たり、サークル活動では潜水士やダイビングライセンスを取得し、海洋生物にも関心を広げたりした。卒業研究ではムササビの腸内細菌をテーマに研究し、エサと消化器官の関係性について考えるようになった。「今の仕事でも給餌管理を行う際に役立っています」と振り返る。動物の種類や年齢、健康状態に応じてエサの内容と量を調整し、栄養バランスを考えながら調整する。些細な変化に気づけるかどうかが、命を守ることにつながるため、日々の積み重ねが欠かせない。
 今後は、日本の動物や自然環境について、より多くの人に知ってもらうことを目標に「S N Sを活用した情報発信や、新たな動物の飼育にも挑戦したいです」と意気込む。「特に、タヌキやキツネ、アナグマなどの日本産動物の飼育に関わってみたいです。日本の野生動物の魅力をより多くの人に伝えていければと思います」と語る。

学びと経験が未来を築く

 後輩となる学生の皆さんへ「将来の選択に迷ったときは、先輩や周囲の人に相談するといいと思います。さまざまな意見を参考にしながら、自分の進む道を見つけてほしいです。また、学生時代には、興味のあることにどんどん挑戦してください。大学での学びや経験が、社会に出たときの財産になります」とメッセージを送る。

  • ウプト233号(2025年5月31日発行)より転載

関連情報

新着記事