技術と学びで家業を支える

2025年に豊実精工株式会社の代表取締役に就任した、今泉亮太郎さん。今泉さんは2024年経済産業省主催の「第5回アトツギ選手権」に出場し、決勝進出者18人のひとりに選ばれ中小企業庁長官賞を受賞。家業を継いだ若手経営者が新たな挑戦やビジネスアイデアを競う大会で、今泉さんは「クロムフリーERINでメッキの産業革命豊かに実る未来を世界へ」というテーマでプレゼンテーションを行った。これは、有害な六価クロムを使用しない「クロムフリー」技術「ERIN」を活用し、環境負荷の低減と持続可能な製造業の実現を目指すもので、家業の技術力を生かした新たな挑戦として高く評価された。「技術だけでなく、プレゼン力や事業によってもたらされる未来像を問われる場で、自分の取り組みが形になったと実感しました」と振り返る。
豊実精工株式会社ではERINの他にも機械設計や部品加工、自社ブランドの木質ペレットストーブの製造・販売など、多岐にわたる事業に携わっている。中でも、琺瑯塗装を施した「Pellestar」は特に注力している製品で、見た目はクラシカルながら燃料は再生可能エネルギーを使用しており、「これからの暮らしにふさわしい製品を届けたいと思います」と語る。
将来を見据えた学び
高校時代から家業を継ぐことを視野に入れていた今泉さん。そんな時に、担任の先生から「親御さんが企業経営者であれば、経営やマネジメントの勉強をする学科に進んだほうがいい」と助言を受けた。経営について体系的に学びたいという思いを強め、本学経営学科(現:経営総合学科)への進学を決意。「当時から、経営を学ぶことには意味があると感じていました」と語る。
学生時代の経験と気づき

大学時代はラクロス部に所属し、仲間と汗を流した時間はかけがえのない思い出だという。「バカなこともたくさんやりましたが、だからこそ深い絆が生まれたんだと思います」と笑う。学生時代に共に過ごした時間が、社会に出た今も大きな支えになっている。 一方で、学業面では「マーケティングをもっと深く学んでおけば良かったと感じています。マーケティングは多くの理論があり非常に奥が深い分野だと思います」。大学で学んだ理論と現実のギャップに戸惑うこともあったが、その過程で多様な考え方を知ることができたという。「マーケティングは営業を含む仕事の仕組み、全体像を理解する上で欠かせません。現在、改めて学び直し、常に新しい知識を取り入れることの大切さを実感しています」と語る。
小さな一歩が大きな成果に
後輩となる学生の皆さんへ「人生経験を積むには、自分が動き出せば周囲も連動して動くので、まず行動することが大切です。知識は半分あれば十分で、残りは経験から学ぶものであり、多くの人はそれを理解しつつも行動に移せていません。失敗を恐れず挑戦する人こそが社会で活躍できる人材だと思います。小さな一歩が後に大きな成果となります。不言実行も大事ですが、有言実行で言葉に出すことも成功への鍵となります」とメッセージを送る。
- ウプト234号(2025年7月31日発行)より転載