2025年11月29日

  • 卒業生

2010(平成22)年度都市建設工学科卒業 米山 創さん

米山さんメイン写真

地域インフラの未来を「共創」する

米山さん18号館にて

 地方公務員の土木技術者として、春日井市役所で道路やごみ処理施設などの公共インフラに関する工事の施工管理や設計を担当している米山創さん。米山さんは、「土木分野は非常に幅広く、まちづくり推進、上下水道、建設、環境といった多岐にわたる事業があります。建物の土台( 地盤)の強度設計・改良といった根幹の役割から、区画整理や再開発計画まで、幅広い業務に携わるのが特徴です」と話す。
 現在配属されている環境部では、166億円をかけたごみ処理施設の大規模改修工事を担当。施設は週6日、24時間稼働しているため、設備を止めずに工事を進める工程調整が最大の難題であるという。元請けや下請けの業者間の調整役として、巨大プロジェクトの進行管理を担っている。

公平性と市民との共創

 「この仕事の最大の醍醐味は、手掛けた工事が完成し、『モノ』として目に見えることです。特に、市民と協働して地域課題に取り組む事業では、完成した際に地域住民から『よくやってくれたね』と直接感謝の言葉をいただける瞬間が、最高の充実感につながっています」と笑顔で語る米山さん。
 また、仕事で心掛けていることは「公平な視点を忘れないことです。限られた予算とリソースの中で行政サービスを提供するにあたり、一部の人に偏ることなく、『サービスの総量と分配のバランス』を常に意識しています」と語る。「この公平性の視点が実を結んだ例として、以前、廃線寸前の公
共交通(バス)について、地域住民と協力してデマンド交通という新しい仕組みを共に実現した経験があります。この地域と行政による『共創』こそが、大きなやりがいとなっています」

学科と研究室での学び

米山さん取材時

 

 現在の仕事には、学生時代に都市建設工学科で学んだ手書きの製図のルールが、現在のCAD設計の基礎として非常に役立っているという。「構造物の設計を行う上でのベースとなる構造力学や土質力学は、最低限しっかり学んでおくべき必須科目だと痛感しています。実際、就職してから学び直しました」
 卒業研究では、コンクリートの耐久試験に取り組み、コンクリートを一つずつ圧縮機械にかけて壊していく試験を行った。「1つ壊すのに何十分もかかるため、研究室に寝泊まりしていました。研究室の皆と協力しながら行った破壊試験は、大変ではありましたが、今となっては楽しい思い出になっています」

未来を拓く学生生活を

 後輩となる学生の皆さんへ「学生のうちはチャンスしかないということを意識し、就職に向けて何か一つ努力することが、その後の未来を大きく変えると思います。人生の選択に迷ったときは、先輩や周囲の人に相談してください。さまざまな意見を参考にしながら、自分の進む道を見つけてほしいです。また、学生時代には興味のあることにどんどん挑戦してみてください。大学での学びや経験は、社会に出たときの大きな財産になります」とメッセージを送る。

  • ウプト235号(2025年11月30日発行)より転載

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