2026年2月13日

  • お知らせ

市民科学の生物写真から3Dモデルへ:NIBB—中部大学 Hackathon 2025 結果発表と公式参考実装(R2O)の公開—AI×生物の挑戦を成果公開ページで公開—

概要

中部大学と基礎生物学研究所(NIBB)は、市民科学由来の生物画像を活用し、2次元の写真から「立体的な生き物像(3Dモデル)」を復元するオンラインハッカソン「NIBB–Chubu University Hackathon 2025」を実施し、結果発表ページを公開しました。本件は研究論文の発表ではなく、AI×生物の連携活動(教育・オープンサイエンス)の成果公開として位置づけています。

開催の背景

近年、市民科学プラットフォーム等を通じて、野外で撮影された膨大な生物画像が蓄積されています。一方で、野外写真は背景の複雑さや遮蔽、光条件のばらつきなどにより、研究・教育で扱いやすい形に整えることが難しい場合があります。本コンテストは、AI技術を活用して「観察の記録」を「立体的な知識」へ拡張する可能性を検証し、次世代の生物百科事典のあり方を考える取り組みとして実施しました。

募集期間中の参加登録者数は約60名(登録フォーム集計、重複除外は運営基準)で、本テーマへの関心の高さが確認できました。

受賞結果(初級部門:単一画像→3D)

最優秀賞

テーマ

「単一画像からのカワセミ3D復元(SPAR3Dハンズオン)」

受賞者

尾納隆大さん(基礎生物学研究所 技術課(光物理生物学研究部門)技術職員)

優秀賞

テーマ

Kawasemi is All You Need(2回目)「InstantMesh を活用したカワセミの迅速な3D形態復元」

受賞者

坪井彩都さん(中部大学工学部情報工学科4年)、原圭佑さん(同4年)、川口純輝さん(同3年)、横地優里さん(同3年)

上級課題と公式参考実装(R2O)の公開

上級部門(多数画像→高精度3D)は、野外写真特有の背景の複雑さ・遮蔽(足が隠れる等)・光条件のばらつきなどにより難度が高く、今回は参加者による最終提出には至りませんでした。そこで運営チームは、次の挑戦を促進するため、複数のコミュニティ画像(CC0)を参照情報として活用し、単一入力に情報を集約して3D化する制作フロー「Reference-to-One(R2O)」を、手順とパラメータを固定した追試可能な形で整理し、公式参考実装として公開しました。

AI×生物の挑戦

公開ページ

結果発表ページおよび各作品の動画・成果物リンクを公開しています。

【免責事項】

本ページで紹介する3DモデルはAIによる推定・補完を含みます。教育・展示・デモ用途に有用である一方、厳密な形態計測や個体同定の根拠として利用する場合は注意が必要です。

【基礎生物学研究所(National Institute for Basic Biology: NIBB)】

愛知県岡崎市に所在する大学共同利用機関。基礎生物学研究分野の中核拠点として、多くの生物に共通する基本的な仕組みや、生物が多様性をもつに至った仕組みなどを解き明かす研究を行うと共に、全国の研究者に共同利用・共同研究の場を提供しています。

ハッカソンとは

プログラムの改良を意味するハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語で、情報技術(IT)の専門家やクリエイターたちがチームを組み、与えられたテーマに対して定められた期間に集中的にソフトウエアやサービスを開発してアイデアの斬新さや技術の優秀さなどを競い合うイベントのことです。2000年代半ばごろから米国の企業やベンチャーキャピタルなどが、これまでにない新しくイノベーティブなソフトウエアやサービスの開発、魅力的な投資先の発見を目的として開催するようになりました。現在では、斬新なアイデアや優れた技術の発見、またはそれを具現化することを目的としたイベントとして、世界各国に広がり、企業のほかにも政府や自治体、大学などが、自動車やヘルスケアといった業種別や、音楽、アート、教育など、さまざまなジャンルのハッカソンを開催しています。ハッカソンは、短期間での集中開発を通じて迅速なプロトタイプの作成やアイデアの具現化を可能にし、参加者同士の交流や成長の場としても重要な役割を果たしています。今後も多様な分野でのハッカソン開催が期待され、さらなる技術革新と社会的価値の創出が見込まれています。

問い合わせ先

新谷正嶺(中部大学 生命健康科学部 生命医科学科 准教授)
TEL: 0568-51-9180
E-mail: shintani[at]isc.chubu.ac.jp※アドレスの[at]は@に変更してください。