2021年11月1日

  • 教員

現代教育学部 現代教育学科 伊藤佐奈美先生

伊藤佐奈美先生メイン

特別支援教育が専門
障害に応じた教育の在り方、障害児の理解と支援の研究

プロフィール

伊藤 佐奈美(イトウ サナミ)先生。愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻後期博士課程修了。博士(教育学)。愛知県内の特別支援学校にて教諭・部主事・教頭・校長を経て、2017年4月中部大学に着任。現代教育学部 現代教育学科教授。

三重県生まれ。好きな食べ物は甘いもので、果物やチョコレート、アイスクリームが好き。ご主人と息子さん、娘さんの4人家族。お子さん2人は独立しているが娘さんは近所に住んでいるため、お孫さんを連れて毎日のように遊びに来ておりとても賑やかに過ごす。ご主人は最近定年退職し家事を担ってくれている。

伊藤先生を Close Up!

先生の研究内容

佐奈美先生

「障害のある方を含め、さまざまな人々が豊かに生活を送ることができる社会の実現に向けて、教育に携わる立場からそれぞれのニーズに応じた教育や支援の在り方(方法、内容、関わり方など)や、そのための体制づくりに関する研究をしています。私の研究はSDGsの取り組みでいうと、目標4の『すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する』を達成するために必要なことであると考えています。障害の特性に配慮した学習ツールや指導方法などを研究することで、障害があるからといって決まったレールを進むのではなく、技術的・職業的スキルを獲得したり、高等教育にも挑戦できるようになればと考えています」

今の研究を始めたきっかけ

「大学卒業後、臨床心理学を学んだことを生かして自閉症の子どもたちが学ぶ、特別支援学校(当時は養護学校)で働き始めました。その後、愛知県の教員となり病弱の子どもたちが通う特別支援学校に着任し、心身症や不登校、虐待を受けた子どもたちと過ごしていくうちに、もっと子どもたちへの理解を深めるために、学び直したいと思うようになりました。そこで仕事を続けながら昼夜開講の大学院に通い臨床心理士の資格を取得し、教育の現場で一人一人のニーズを深く理解し、関わることを大事にした教育について考える実践研究を進めるようになりました」

特別支援学校で

特別支援学校の教員時代に子どもたちと芋堀りをしたとき

『軽度知的障害生徒における自己理解の支援に関する実証的研究』の出版と『コロナ禍における教育とポスト・コロナ時代の教育』への執筆

「『軽度知的障害生徒における自己理解の支援に関する実証的研究』は2019年に発行しました。この本では、知的障害のある生徒は意思疎通が難しく、自分で判断することが苦手なため、彼らを支援する教員や保護者によってさまざまなことを決められてしまうことが多くあります。そのため自分自身で考えたり自己表現をする機会を与えられずに過ごしていることが多くみられます。それを問題と捉え、知的障害のある生徒が自己理解を深め、意思疎通をするためにはどう支援したらよいかをいくつかの指導場面を設定しながら実証的に研究した内容をまとめた本です。今後の教育現場での参考になればと思っています。

『コロナ禍における教育とポスト・コロナ時代の教育』は2021年に発行されました。この本では、新型コロナウイルス感染症がもたらした学校への影響とそれに伴う対策、課題などを各教育現場の研究者が寄稿し、まとめた本です。私は愛知県の特別支援学校の取り組みについて、学校休業中の対応から学校再開後に実際に行った対応を、愛知県内の特別支援学校の教頭先生の記録を基に時系列でまとめました。コロナ禍の特別支援学校における教育活動や感染対策は、文部科学省のガイドラインや通知を受けて、障害の状態や発達の段階などをもとに学校ごとに検討し、対応するということが多くありました。そうした特別支援学校ならではの対応をまとめ、ポストコロナ時代の教育への展望なども記しました」

著書

先生が携わった著書。下段左から:『特別支援教育のための100冊』(創元社)、『コロナ禍における教育とポスト・コロナ時代の教育』(学術図書出版社)、『軽度知的障害生徒における自己理解の支援に関する実証的研究』(現代図書)。その他、論文など。

先生の学生時代

「高校生の頃は、女子大学に通いたいと思っていました。進路指導の先生から大阪女子大学の『国文科』を勧められ、願書を取り寄せたところ、他にも心理学を学ぶことができる『社会福祉学科』があることを知りました。当時、心理学クラブに所属していて心理学に興味があったので進路を変え、『社会福祉学科』を選びました。大学では、ロールシャッハテストなど投影法の勉強や児童精神科外来で実習を行ったりしました」

学生時代1

学生寮の仲間とハイキング(右端が伊藤先生)

学生時代2

人形劇サークルの仲間と(先頭が伊藤先生)

先生の趣味

「音楽が好きで、学生時代からピアノを弾いたり合唱部に所属したりしていました。特別支援学校の教員時代に、学校の隣にある病院や近隣の福祉施設のイベントでバンド演奏を依頼されたことをきっかけに、30年以上キーボード担当でバンド活動を続けています。コロナ禍の現在、なかなか集まって練習をすることができないため、月に1度オンライン演奏アプリを使って自宅などからセッションを楽しんでいます」

バンド活動

特別支援学校の教員時代に職場の仲間と福祉施設で演奏(左から2番目が伊藤先生)

メッセージ

伊藤先生メッセージ

「現代教育学科は、教員を目指す学生が多い学科ですが、ただ『教員になる』ことを目的とするのではなく、自分の強みや興味・関心を大学での学びでさらに深化させ、教師となったときに『どんな教師を目指すのか』『子どもたちにどのように関わるか』といったことを追究し続ける魅力的な教員になってほしいと思います」

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