発育発達、運動生理学が専門
幼児の体力・運動能力、幼児のコミュニケーションに関する研究
プロフィール
山本彩未(ヤマモト サイミ)先生。中京大学大学院体育学研究科修士課程修了。修士(体育学)。武庫川女子大学健康・スポーツ科学部を経て、2009年に中部大学に着任。現代教育学部 幼児教育学科 講師。
大阪府生まれ。趣味は身体を動かすこと、折り紙、手芸。ご主人が淹れる、豆や抽出法にこだわったコーヒーを週末に楽しんでいる。
山本先生を Close Up!
先生の研究内容
「人のコミュニケーション能力や共同性、社会性は、遊びを通した幼児同士の関わりの中で培われます。そのため、保育所や幼稚園での遊びをいかに充実させていくかが課題になります。私の研究では、保育所や幼稚園の生活における園児の行動やコミュニケーションを可視化し、園児同士や園児と保育者のやりとりの状況とその変容過程について、特に外遊びに着目して明らかにすることを試みています。そして、これらの情報を生かして充実した遊びを展開し、保育・教育現場で活用できる支援方法が見つかれば良いと考えています」
先生の指導内容
「大学院時代は研究室の中で実験をすることが大半で、運動時や運動後の身体の生理学的応答を研究していました。学生時代からHIP HOPダンスをしていたことがきっかけで、中部大学の幼児教育学科では身体表現や幼児体育などの授業を受け持つようになりました。元々ずっと体育の世界にいたので、幼児教育は未知な部分も多く初めは戸惑いましたが、たくさんの保育・教育現場を見て学ばせていただきました。今は幼児の発達段階に合わせて、特別な道具や遊具がなくても、子どもたちと楽しく身体を動かせる保育者を目指して学生に指導をしています」
「幼児のコミュニケーション・行動を可視化した名札型ウェアラブルセンサー」
「『名札型ウェアラブルセンサー(日立製作所製)を保育・教育現場に生かすことはできないか』と、花井忠征副学長(幼児教育学科)からお声掛けいただいたことがきっかけでこの研究を始めました。名札型ウェアラブルセンサーは、名前の通り名札サイズの小さな情報端末で、赤外線センサーおよび加速度センサーが内蔵されています。このセンサーと専用の解析プログラムを用いることで、対面状況の話し手と聞き手を検出して会話の方向や量を測定し、ネットワーク図として可視化することができます。多人数を対象としてリアルタイムで同時分析を行うことができるため、従来から実施されている主観的研究では明らかにできなかった幼児の集団形成と変容、コミュニケーションの実態の客観視が可能となりました。
研究では幼児に名札型ウェアラブルセンサーを入れたビブスを着用してもらって測定しました。すると運動が得意な子と不得意な子では、遊んだ固定遊具や施設が異なる傾向にあり、遊びの嗜好が異なることが見えてきました。また、多人数で遊んでいる時よりも少人数で遊んでいる時の方が幼児一人一人の動きが活発になり、転落などの事故のリスクが高いことも分かりました。幼児の行動が計測・可視化できるようになることで、今後の保育・教育現場の負担軽減や事故防止に貢献できればと思っています」
先生の学生時代
「小学校が今では考えられないほどスポーツが盛んで厳しく、夏は水泳、冬は駅伝大会などを学校全体で行っていました。長期休暇の間もほぼ毎日練習があり、運動漬けの日々でしたが、そこで体を動かす楽しさを知りました。大学は体育系の学部に進学し、競技スキー(クロスカントリー)部に所属していました。選手として入部したのですが、取り組んでいるうちに選手の体調管理やマネジメントに興味を持ったため、3年生からマネージャーになりました。選手と一緒にメンタルトレーニングの講習会に参加したり、他大学の先生からお話を伺ってクラブマネジメントを勉強し実践したところ、弱小クラブだったのが1部リーグに昇格することができ、部員もどんどん増えていきました。部活動の後には、スタジオに行って趣味のHIP HOPダンスをして、睡眠時間が3時間ほどしか取れないこともありましたが、とても充実した学生時代だったと思います」
メッセージ
「学生時代の恩師である故御手洗玄洋先生から『新しい友を作りその友に尽せ』という言葉をいただき、今でも大切にしています。人との関わりを大切にして、つながりを楽しんでください。人との対話は煩わしいことも多々ありますが、他者の価値観や感性に触れることで自分自身を成長させることができます。人との関わりを通じて自分の視野を広げ、さまざまなことに興味をもって挑戦してほしいです」