2020(令和2)年度食品栄養科学科管理栄養科学専攻卒業
栄養管理で命を支える
岐阜県岐阜市にある岐阜ハートセンターは、心臓などの循環器を専門とする病院で、緊急搬送される急性期の患者さんから慢性的な疾患を持つ患者さんまで幅広く治療している。管理栄養士として勤務している嶌田陸人さんは本学食品栄養科学科管理栄養科学専攻の卒業生で、入院・外来患者さんへの栄養指導、食事指導を月40~50件ほど担い、現在4年目となる。患者さんの運動量と栄養とのバランス管理や、食事の仕方についての指導のほか、調理業者が作成する献立・レシピのチェックなども行っている。また、医師や看護師、理学療法士などさまざまな職種の人とも連携して疾患やその症状に合わせた栄養管理も行う。
「患者さんの症状や服用している薬によっては、摂取すると命に関わる食べ物もあり、間違った指導ができないため緊張感を持って業務に当たっています。また、食事量は適切か、栄養状態が良いかなどを毎日確認し、患者さんの変化に早期に対応できるようにしています」
指導ではなく対話を心掛けて
毎日さまざまな年齢や症例の患者さんを指導する嶌田さんは、自身の体調管理にも気を配る。
「自分の食事での栄養面は特に気を付けています。指導する管理栄養士が太っていたり不摂生をしていたら、患者さんにも響かないと思うので」
指導の際には患者さんの生活環境を重視し、寄り添う指導を心掛けているという。
「食事制限がある患者さんは、回復して元気になるにつれてどうしても栄養管理が難しくなってしまいます。そうした場合は目の前のできそうなことから提案します。例えば、毎日の晩酌を週3回に減らす、などです。時には指導に関係ないプライベートな話も織り交ぜながら、患者さんが楽しく取り組めるようにしています。患者さんが元気に退院される姿を見るととてもうれしいです」
- 嶌田 陸人さん
- 医療法人澄心会 岐阜ハートセンター(管理栄養士)
- 2020(令和2)年度食品栄養科学科管理栄養科学専攻卒業
身近な食について学んで
食べることが大好きで、「食」に携わる資格が取得できると思い、本学食品栄養科学科管理栄養科学専攻に進学した嶌田さん。
「学科では栄養素の勉強のほか、ラットの解剖もしました。実際の臓器を観察することで身体の仕組みを知ることができました」
当初は食品メーカーへの就職を考えていたが、3年生の時に地元の病院で臨地実習をしたことがきっかけで、病院の管理栄養士を目指すように。
「患者さんや医師など人と関わる機会が多いことや自分の声が直接相手に届くことに魅力を感じました」
他人を頼る大切さ
現在、心臓リハビリテーション指導士の資格取得を目指し、勉強を重ねる嶌田さん。心疾患に関するガイドラインを読むだけではなく、分からないところがあれば先輩や医師に質問して学んでいるという。学生の皆さんに、「勉強は毎日の積み重ねが大事です。自分で調べることも大切だと思いますが、分からないところを恥ずかしいと思わずに、積極的に先生や友人に聞いてください。先生も優しく教えてくださいますし、話をすることでお互いの知識も深まると思います。国家試験の勉強は、4年分一気に勉強するよりも、分からないことはその都度1つずつ解決した方が身に付きますし、合格に近づくと思います」とメッセージを送る。
- ウプト228号(2024年2月28日発行)より転載