概要
学校法人中部大学、学校法人東海大学、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科、株式会社デンソーは、共同研究の中で、微細藻類コッコミクサKJ*1の葉緑体に含まれる成分、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)に、新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果*2があることを確認しました。
コッコミクサKJは、成長が早く、丈夫で培養しやすい微細藻類です。ビタミン類やアミノ酸など豊富な栄養素を含んでいること、歯周病の原因菌の増加を抑制することなど、さまざまな特徴を持っています。また、2019年には、コッコミクサKJのMGDGがヘルペスウイルスのエンベロープ膜*3を破壊すること、および、ヘルペスウイルスに対する殺ウイルス効果があることも明らかになっています。
このたび、3大学とデンソーは、コッコミクサKJのMGDGが、新型コロナウイルスに対しても、殺ウイルス効果があることを確認しました。今後は、ヘルペスウイルスや新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスやヒトコロナウイルスなど、さまざまなエンベロープ膜を持つウイルスに対する殺ウイルス効果を検証していきます。
本研究成果は、新型コロナウイルスなどに対して効果的に作用する製品の開発につながる可能性があります。今後も、3大学とデンソーは、本研究開発を継続し、感染症対策の可能性を広げ、社会に貢献することを目指します。
なお、本研究は、JST 研究成果展開事業研究成果最適展開支援プログラムA-STEP 産学共同JPMJTR204H の支援を受けて、実施しました。
用語解説
*1 コッコミクサKJ
コッコミクサKJは、デンソーの登録商標です。
農林水産省委託事業において、国立大学法人京都大学とデンソーが共同開発しました。 オウンドメディア「Stories」での紹介は以下をご覧ください。
*2 殺ウイルス効果
殺ウイルス効果は、ウイルスが細胞に感染する機能を破壊する作用です。
*3 エンベロープ膜
エンベロープ膜は、ウイルスの粒子に見られる膜です。
コッコミクサKJ
新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果に関する論文
タイトル:Virucidal effect of monogalactosyl diacylglyceride from a green microalga, Coccomyxa sp. KJ, against clinical isolates of SARS-CoV-2 as assessed by a plaque assay
著者名:Kyoko Hayashi, Satomi Asai, Kazuo Umezawa, Hidehumi Kakizoe, Hayato Miyachi, Masanobu Morita, Takaaki Akaike, Hitoshi Kuno, Satoko Komatsu, Takumi Watanabe, Toshio Kawahara
掲載誌:Journal of Clinical Laboratory Analysis:WILEY
DOI:10.1002/jcla.24146
掲載URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcla.24146
ヘルペスウイルスに対する殺ウイルス効果に関する論文
タイトル:In vitro and in vivo anti-herpes simplex virus activity of monogalactosyl diacylglyceride from Coccomyxa sp. KJ (IPOD FERM BP-22254), a green microalga
著者名:Kyoko Hayashi, Jung-Bum Lee , Kinya Atsumi, Mana Kanazashi, Tamaki Shibayama, Kazumasa Okamoto, Toshio Kawahara, Toshimitsu Hayashi
掲載誌:PLOS ONE
DOI:10.1371/journal.pone.0219305
掲載URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0219305
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