館長挨拶

お知らせ

    館長挨拶

    2011年(平成23)4月に開館した中部大学民族資料博物館はオセアニア、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなどの生活道具、祭礼具、民族衣装など、民族資料を公開する大学博物館です。

    現在、国内には五千を超える博物館が存在すると言われていますが、中部大学民族資料博物館は、世界各地の民族資料を中心に四千点を超える収蔵品を有する、全国的にも稀少な大学博物館としてその名を知られています。1984年に国内初の国際系学部の一つとして創設された国際関係学部の教員は、教育や研究のために世界各地で資料を収集し、それを基に民俗資料室が1992年に開設されました。その後、附属三浦記念図書館2階で規模を約600㎡に拡張し、民族資料博物館と名を変えてスタートした本館は、大学が8学部27学科、学生数1万人を擁する中部圏屈指の総合大学へと発展するにつれ、さまざまな学問分野に関連する収蔵品などを加えながら今日の姿に至っています。オセアニア研究のパイオニアとして知られる畑中幸子名誉教授が収集したパプアニューギニアの生活用具や祭礼用品、元ユネスコ事務局長で、本学園の学事顧問を務められた松浦晃一郎氏収集の西アフリカの仮面や彫刻、伊藤平左エ門名誉教授のカメラコレクションなど、他に類を見ない数々の資料が収蔵されているところです。

    大学博物館に求められる役割の一つは、人類が有史以来繰り広げてきたさまざまな知的活動の一端を資料とともに展示紹介するとともに、学生や教職員が新たな「知」を産み出し、未来を切り開くためのインスピレーションを得るための場を提供することにあると考えます。そこでは実際の資料を通して世界各地に存在する多種多様な文化やその背景にある宗教や世界観、技術や生活習慣などについて知り、かつ想像力を働かせることで、未来を生み出す創造力へとつながる多くの気づきが得られるのです。幸い、本学は工学、経営情報学、国際関係学、人文学、応用生物学、生命健康科学、現代教育学、理工学という幅広い学問分野を網羅し、多彩な教育研究が日々広大なキャンパスのあちこちで推進されていることから、そうした学問の蓄積を活かした展示や、最先端の研究を民族や地域といった国際的な視点も絡め、紹介できる場でもありたいと願っております。

    また、博物館は資料を展示紹介することにとどまらず、それにまつわるさまざまな活動を通じて人と人とが出会う場でもあります。学部を越えた学生や教職員の交流はもちろんのこと、社会に開かれた博物館として新たなつながりが生まれることにより、大学の活性化や地域社会にも貢献して参ります。中部大学民族資料博物館の展示や企画に是非ご期待を頂き、一人でも多くの方々に足を運んで頂ければ幸いです。

    中部大学民族資料博物館 館長 中野 智章

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